日本歯科評論4月号
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日本歯科評論(通刊第966号) 109(一社)日本スポーツ歯科医学会 理事長(一社)日本スポーツ歯科医学会 理事長 明海大学 学長 明海大学 学長スポーツ外傷予防教育の一環としてのマウスガード学習. スポーツにおける外傷は,スポーツ競技者(アスリート)に限らず,学校体育や課外活動(クラブ活動)に参加する児童生徒や学生諸氏,あるいはあらゆる年代のスポーツ愛好家にとって肉体的にも精神的もダメージを受ける可能性がある.特に歯・口腔の外傷は,眼の外傷とともに若年者の受傷が多く,この課題を解決することは歯科界においても重要な意味を持っている. 2022年11月29日に開催された「自民党スポーツ歯科支援議員連盟」総会において「国内外のマウスガードの普及について〜歯・口腔の外傷と対応から〜」と題して,わが国のスポーツ外傷と安全確保の必要性等について,ニュージーランドにおけるラグビーの事例も含めて報告する機会を得たので,その内容を紹介したいと思う. 独立行政法人日本スポーツ振興センターは学校の登下校時を含む「学校管理下での災害」に対して,医療費と障害見舞金あるいは死亡見舞金の給付事業を行いデータ化している(以後,センターデータと略).したがって外傷の実態を知るには,このセンターデータを分析することが大切である.今回は,2016(平成28)年度〜2020(令和■)年度の■カ年分のデータ(各教科の体育,体育的運動部活動,障害種別としての「歯牙障害」を各年度で給付した件数)について分析した.1₁.障害見舞金給付状況からみたスポーツ障害₁)現 状 表₁はセンターデータから小学生,中学校■〜■年生,高等学校■〜■年生の発達年代別に障害の種類別の給付状況をみたものである.小学生よりも中学生そして高校生の順に給付件数は増加していることがわかる.その部位をみると,中学生では眼の障害そして高校生では歯・口腔の障害(以下,歯牙障害)の多いことがわかる.障害見舞金の給付は第■級から第14級に分類されており,例えば,第14級とは「三歯以上に対し歯科補綴をくわえたもの」と定義され,以降,第13級では五歯以上,第12級では七独立行政法人日本スポーツ振興 センターのデータからみた歯・ 口腔の外傷の実態安安やすやす井井いい利利としとし一一かずかずスポーツにおけるスポーツにおける歯・口腔の外傷の現状歯・口腔の外傷の現状

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