日本歯科評論3月号
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中なか道みち 勇いさむ 明治16(1883)年に,医業全般を規律する医師免許規則および医術開業試験規則ができ,試験科目において歯科が独立し,歯科医師法独立の端緒となった.それまでは, 口中科は産科や眼科と同じく医科の一分科と位置づけられていた.明治36(1903)年,専門学校令が制定され,ここに医科大学または医学専門学校の二本建ての医学教育制度が確立し,医師は医科大学または医学専門学校,歯科医師は歯科医学専門学校卒業者に限られることとなった.そして明治39(1906)年,医師法および歯科医師法が制定されるに及んで衛生制度の根幹となるべき医師および歯科医師の制度が確立し,歯科医師の制度が医師の制度から独立した.歯科医学界においては,医学界と異なり,歯科医師団体の設立が遅れ,個々の歯科医が門弟を集めて結成した小グループが存在するに過ぎなかった.恐らく,歯科医学そのものが医学の一部門と考えられていたためと思われるが,歯科医師の数が非常に少なかったことも原因の一つである.歯科医師法において,歯科医師が歯科医師会を設立し得る旨の規定がおかれ,歯科医師会に関する規定は内務大臣が定めることとなった■).100年以上も前の話であるが,記憶しておかなければならない制度に関する重要な内容である. 現在,全国の届出歯科医師数は令和■年末で107,443人で,人口10万人対の歯科医師数は85.2人まで増え,歯科医療内容にも変化があり,歯科医療費も■兆円を突破したが,歯科診療所の経営は未だ不安定で歯科界には現状の低医療費政策に対する不満が多い.今回は,令和元年度の歯科医療費「■兆150億円」の実態についてみていく. 令和元年度の歯科診療医療費は■兆150億円(受診延日数4.2億日)となり,初めて■兆円に達した.令和は歯科にとって記念すべき年号となった. 医療提供体制は令和■(2020)年10月現在,歯科診療所が67,874(無床67,853,有床21,病床数は61)で,歯科医師101,007人(常勤85,829人,非常勤中道歯科医院〒930-0106 富山市高木2366-1日本歯科評論(通刊第965号) 109はじめに歯科医療提供体制の状況-その3 歯科医療費「3兆150億円」の実態--その3 歯科医療費「3兆150億円」の実態-2024年度診療報酬改定に向けて歯科の適正医療費は歯科の適正医療費は4兆3,800億円である4兆3,800億円である!!

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