日本歯科評論3月号
8/9

 図₁の患者は■歳女子,■年■カ月間,FKOを髙たか橋はし喜き見み子こ 矯正治療が普及した現在,専門診療機関以外でも矯正治療を受けられるようになったことは患者利益となっているに違いない.将来ある子どもたちに幅広く矯正治療の恩恵を与えることが可能になりつつあると実感している.しかしながら,残念なことに矯正治療を行っているのに治らないと転院を希望して受診する患者が後を絶たない.それはなぜなのか? 今回は,矯正治療専門に従事する者として,反対咬合の早期治療を行うに際してよい結果を得るためのポイントを検討すると同時に,長期経過症例を供覧して反対咬合早期治療の意義と対応について再確認したい.就寝時に装着しているが,治療が進展しないため母親が心配になり受診した.前医は母親の知人であることから円満に転院を決定,引き継ぎの資料として治療開始前の模型のみを受け取った. 矯正診断用資料を採得し分析したところ,臼歯関係full classⅢの骨格性下顎前突症であった.思春期性成長前に被蓋改善を行うとしても■期治療が必要になることを説明したうえで治療を行った.前歯被蓋は改善したが,臼歯関係はⅢ級のまま■期治療を終えた.その後,反対咬合は再発しなかったため,本人が■期治療を希望せず終了となった. この症例での問題点は,前医が術前に資料採得や分析をせずに治療を行ったことに尽きるであろう.骨格性下顎前突はFKOの適応症だろうか? 同様の問題は一般歯科で行う矯正治療に起こりうることではないだろうか.学校健診で歯列咬合の異常を指摘されても,矯正専門医は敷居が高く,身近な一般歯科での治療を望むのは保護者にとって自然なことである.歯科医としても,困っている患者には手を差し伸べたいのは当然である.向陽歯科・矯正歯科クリニック〒359-1111 埼玉県所沢市緑町4-36-492 THE NIPPON Dental Review Vol.83 No.3(2023-3)連載 ■ 早期反対咬合への対応─その意義と注意点⑤・完は じ め にⅠ リカバリー症例から思うこと早期反対咬合治療を長期経過症例から考える──失敗しない! 反対咬合の早期治療──

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る