日本歯科評論2023年1月号
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中なか道みち 勇いさむ冠修復』の冒頭の座談会で高橋英登氏や坪田有史氏は“歯科医療費が■兆円あればかなり現状を改善できる”と発言し,座談会に対するコメントで小林隆太郎日本歯科大学教授も,日本歯科医学会のタイムスタディー調査の代表的な一連の歯科医療行為の総所要時間と保険診療報酬評価に関連して適正な歯科医療費は■兆円の議論の価値は十分にある,と述べている. 本稿では,歯科の適正医療費をどう捉えるべきかを,社会歯科保険の歴史的な流れを把握した上で,診療報酬点数の推移をみて,歯科医療費が抑制されている原因を推察し, 現状での適正歯科医療費の額を計算してみる. 明治時代の歯科医師の診療報酬はアメリカに習いドル建てで,相当の利潤を上げることもできた.われわれの先人は良い生活を楽しんでいた人もいた.昭和に入ると指折り数えるくらいの人は明治時代の考え方で高い報酬をとっていたが,大部分の歯科医中道歯科医院〒930-0106 富山市高木2366-1 筆者は, 平成21(2009)年11月に本誌(通刊第805号)で東京医科歯科大学の新田 浩先生と共著で「緊急提言/歯科の適正医療費は■兆円―質の高い安心な歯科医療を国民に提供し続けるために」を執筆した.提言がどの程度影響したかは不明であるが,当時の歯科医療費約■兆■千億円は令和■(2021)年度の概算で■兆1,498億円まで増加した.歯科医療費がこれまでにないペースで増えたとはいえ,歯科界を覆う閉塞感はコロナ禍も相俟って依然として漂い続け, 歯科医療の崩壊が深く静かに進行し解決の糸口がみえていない. 歯科診療報酬については①諸外国と比較してきわめて低い水準にある,②医科の同種技術と比較して低い水準にある,③技術評価相互のバランスが悪い,④新規導入された技術の採算性がきわめて低い,などの不満が歯科医療界に数多くある,と言われてきた. 2022年■月に刊行された本誌別冊『保険診療と歯日本歯科評論(通刊第963号) 107はじめに戦前の歯科診療報酬2024年度診療報酬改定に向けて歯科の適正医療費は歯科の適正医療費は4兆3,800億円である4兆3,800億円である!!-その1 社会保険の歴史に基づく適正医療費のあり方--その1 社会保険の歴史に基づく適正医療費のあり方-

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