日本歯科評論12月号
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え江上はが賀本達ひや也口琢善 歯周組織再生療法を成功に導くうえで,血餅の安定(blood clot),スペースの確保(space making),創傷の保護(site protection)が重要となる.歯周組織再生の過程で早期に血餅が剝がされることで,創部の治癒が上皮性の付着となり,再生が起こりにくい環境となる.その要因として術後の歯の動揺,早期のブラッシング,食片圧入による機械的刺激が挙げられる.また,術後の歯肉弁の裂開や陥没も再生を阻害する要因となる. 歯間乳頭部は歯周疾患の好発部位であるが,この部位の骨欠損にアプローチするために,従来の方法では歯間乳頭に切開を入れていた.Mörmannら■)の研究によると,歯間乳頭部は血液供給が悪いとされており,歯間乳頭部を切開することにより,少なからず術後の裂開を招く危険性がある.そのため,歯間乳頭を切開せず骨欠損部にアプローチする方法が模索されてきた. modified vestibular incision subperiosteal tunnel access(M-VISTA)は,2011年にZadeh■)が考案した根面被覆術であるVISTAテクニック(vestibular incision subperiosteal tunnel access)を再生療法に応用した術式である.口腔前庭の縦切開よりアプローチ(図₁)するため,歯間乳頭を切らないで済むこと,水平切開を用いないため血液供給の面で優れていること,歯肉弁を歯冠側に引き上げるように固定することで歯肉退縮の改善も図れる利点がある.しかし,Najafiら■)が論文の中でも述べているが,デブライドメント時の骨欠損部へのアプローチがブラインドアクセスとなるため注意が必要である.本図₁ M-VISTAの切開線.がみけいたけしよしもとたつぐちたくよし54 THE NIPPON Dental Review Vol.82 No.12(2022-12)M-VISTAについて低侵襲の歯周組織再生療法による対応②M-VISTAとSFA──modifiedvestibularincisionsubperiostealtunnelaccess&singleflapapproach── 圭 芳 剛 吉 樋

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