日本歯科評論10月号
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橋はし本もと典よし也や Mineral Trioxide Aggregate(MTA)セメントは,1990年代初頭に米国・ロマリンダ大学で開発された歯内療法用材料で,日本国内では覆髄材として2007年に最初の薬事承認を受けた.現在,歯内療法分野で MTAセメントは,歯内療法用セメントとして普及している.MTAセメントは優れた生体親和性や硬組織形成促進作用を有するため,歯髄温存療法や逆根管充塡などに用いられていることが知られている■). しかしながら,MTAセメントには使用後の歯の変色,また粉末と液を練和して使用することによる操作性が課題とされていた.国内で販売されているMTAセメントの多くは覆髄材料のため,われわれは,根管充塡専用材料の開発を目的としてプレミックスタイプMTAセメント (Bio-C Sealer)の共同研究をAngelus Japan株式会社と行った.そして2021年■月,株式会社ヨシダより販売が始まった(図1).Bio-C Sealerはバイオセラミック歯内療法用材料であり,バイオセラミックス配合による組織再生促進作用,殺菌作用,細菌浸潤抑制作用に加え,従来の充塡用セメントと比較して,混和の必要がないという大きな利点がある.すなわち,粉末と液があらかじめ混和されたプレミックスのため,根管内への充塡が容易で,治療時間の大幅な短縮が可能である.図1 プレミックスタイプのMTAセメント(Bio-C Sealer,ヨシダ).日本歯科評論(通刊第960号) 97大阪歯科大学 歯科理工学講座 主任教授〒573-1121 大阪府枚方市楠葉花園町8-1プレミックスタイプMTA Bio-C-Sealerの基礎と臨床プレミックスタイプMTAセメント「Bio-C Sealer」プレミックスタイプMTAセメントの理化学的・生体適合性の検証

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