日本歯科評論10月号
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前まえ野の孝たか枝えイシタニ小児・矯正歯科クリニック〒899-5432 鹿児島県姶良市宮島町41-4Ⅲ萌出障害における基本的な対応 萌出障害は,当該歯の発育不良や隣在歯の歯根吸収,当該歯および隣在歯の埋伏などを引き起こす.保存が困難となり,永久歯を喪失してしまうことにもつながり得る.口腔管理を行う上で,最も避けなければならないのは,事態が悪化してからかかりつけ歯科医がそれに気づくということ,そしてそのような状況になるまで患者および保護者に何も説明がなされていない,ということである.それを防ぐためには,適切なタイミングで適切な介入ができるよう準備しておくことが重要であると考えられる.42 THE NIPPON Dental Review Vol.82 No.10(2022-10)Ⅰ なぜ萌出障害に目を向けるべきなのかⅡ 萌出障害についての基本的な知識 ₁.萌出障害とは 歯の萌出に関わる問題は総じて「萌出障害」と表現される.そして萌出障害は,時期の異常と,位置や量の異常の■つに大きく分けられる.前者には,萌出遅延,早期萌出,乳歯の早期脱落などがあり,後者には,埋伏,異所萌出,移転,アンキローシス(骨性癒着)などがある. 埋伏とは萌出時期を大幅に過ぎても歯が萌出せず,顎骨内もしくは粘膜下に留まっていることを指す.萌出遅延か埋伏かの判断は難しいところであるが,埋伏に至る前の萌出の異常を早期に発見することで,可及的に埋伏を予防することが重要である.

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