日本歯科評論10月号
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高たか橋はし昌しょう司じたかはしキッズデンタル〒720-0821 広島県福山市東川口町₅丁目18-15 小児期の歯科医療において,正常な乳歯-後続永久歯の交換を見守ることは歯科医師にとって大切な役割である.もしトラブルが起きそうな場合には,適した時期に最小限介入し,軌道修正を試みる.そしてまた観察を続け,個性正常咬合に子どもたちを導く.これが教科書的に「咬合誘導」と呼ばれる小児歯科の根幹的臨床体系である.咬合誘導は静的なものと動的なものに大別されるが,本項では静的咬合誘導,すなわち「保隙処置」に代表される永久歯萌出スペースメインテナンスの基本的対応法について説明する. 保隙処置とは劇的に変化する乳歯列〜混合歯列期において,乳歯の早期喪失に際し,永久歯萌出スペースを近遠心的,垂直的に維持する処置である.矯正治療のようにアクティブに問題を改善するのではなく,現状を維持して個々が持つポテンシャルの喪失を予防する.保隙処置は歯の萌出段階や使用装置,乳歯の喪失理由により条件付きではあるが健康保険の適応となっている(2022年■月歯科診療報酬改定時点).34 THE NIPPON Dental Review Vol.82 No.10(2022-10)Ⅰ 保隙処置とは?Ⅱ なぜ保隙処置が必要か? ₁.乳歯は「天然の保隙装置」 永久歯のスムーズな萌出には,乳歯が健全で適切な時期に脱落することが必要であ永久歯萌出スペースメインテナンスの基本的対応

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