ブックタイトルapollonia201805
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2018.05 131国試の難関化より生涯研修の必修化を―第111回歯科医師国家試験では、「問題の難易度が高い」と感想を述べた関係者が少なくありませんでした。昨年、本連載で歯科国試の現状について説明いただいた東京デンタルスクール校長の岡田優一郎氏によれば、「英語、時事問題、医学的知識の拡充、新しい治療法についての知識、高齢者・摂食嚥下、救急災害時の歯科保健対策、法歯学などの出題が見られるのが近年の傾向で、今回は基礎教科での細かい知識が問われた」とのことです。 今回は、歯科国試そのものだけでなく、国試難関化の背景や、それに対して歯科界は何ができるのかという点にも踏み込んでいきたいと考えます。よろしくお願いします。安田 今回の歯科国試で難問の典型例として挙げられているのは図1のようなものです。このように、中には「専門の教授ですら、確実に正答するのは難しいのではないか」と考えられるような問題が、近年、多数出題されるようになりました。昔のように、「過去問を把握していれば大丈夫」ということはありません。特に、医学的知識を中心に、歯科ではまれな疾患の診断基準や治療法なども問われるようになっています(心臓死は発生率100%だが……)。 いわば、・実際の臨床ではあまり見ない病気についての知識までも重視されるということです。 つまり、「普通の歯科医師」が日常診療をする上で必ずしも必要でない知識が歯科国試で出題され、その結果、出題範囲が限りなく広がっていくという構造になっているのです。 出題する側が「あれも必要」「これも必要」と付け加えていった結果、歯科医師になるために必要な知識の量が急速に増えている現状ですが、大学や講座によって必要性の認識は異なっており、それらが歯科国試の出題内容と完全に一致しているわけではないので、・卒業試験が終わってから国試対策を始める学生も多いと聞きます。 本来、国家試験とは「その職業を遂行する上で最底限の適格や知識、技量を問うもの」のはずです。あまりに多くの知識を求めると、何が優先的に必要なのかの判別が難しくなり図1 第111回歯科国試の難問[ 例1]心臓死の判定項目は?[ 例2 ]口腔扁平上皮がんの治療で用いられるのは?[ 例3 ]A型インフルエンザウイルスの標的細胞の結合は?[ 例4 ]全身性浮腫の診療時に圧痕を確認する部位は?[ 例5 ]神経鞘腫に見られるものは?(正解は135ページ)[ 例6 ]重症感染症の際に増えるのは?