ブックタイトルapollonia_201804

ページ
10/38

このページは apollonia_201804 の電子ブックに掲載されている10ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

apollonia_201804

2018.04 021 NiTi(Nickel-Titan)は1963年、アメリカ海軍研究所のBuchlerとWangが、潜水艦の材料に使用する金属として非磁性・耐塩性・耐水性の合金を開発中に、偶然発見した形状記憶合金です。ニッケルとチタンの重量が55%と45%、原子比が1:1で構成されます。特徴は以下の通りです。 ・基質的な変形を起こす荷重を加えた後でも原型に戻る、超弾性的性質を持つ・オーステナイトからマルテンサイトに変態することにより超弾性的性質が生じる。しかし、荷重を除くと再びオーステナイトの状態に戻り、以前の形態に回復する・ステンレスでは回復可能なゆがみは最大で1%だが、NiTiは10%のゆがみが生じても完全に回復することができる・125℃以上の温度で変形を除去することができるNiTiファイルの利点と欠点 手用のステンレスファイルに対するNiTiロータリーファイルの一番の利点は、根管拡大に要する時間を軽減できることです。また、モーターによる回転で拡大を行うため手指の力を必要とせず、回転数やトルクで力のコントロールができることも利点の一つです。 一方で、ステンレス製のファイルに比べて高価で、突然ファイルが折れるという欠点もあります。また、作業長を間違えると瞬時にステップやレッジが形成され、アピカルシートの破壊といった不可逆的な結果を招く可能性があります。また、十分な根管内洗浄を行わないとスメア層を形成し、予後不良となりやすいことにも注意が必要です。レッジとは 不適切な根管拡大器具の操作によって生じる、本来の根管形態から逸脱した人為的な棚状の形態。根管形成中にレッジが形成されると根尖へのファイルの到達が困難になり、根管治療の成功を妨げる一因となる。特に弯曲根管での無理なファイリングや、根管に切削片を詰め込んだ結果として生じる。『歯内療法学専門用語集』より改変歯内療法の手順1診断(diagnosis) 可逆性歯髄炎か不可逆性歯髄炎かの診断が最も重要である。保存可能な歯髄は確実に保存することが一番。2防湿 (isolation) 清潔で乾燥した環境で、確実な防湿を行うことが成功の第一歩。3アクセス窩洞形成(access) 天蓋を除去して歯髄組織の確実な除去を行い、根管が窩洞内に含まれるように外形を形成する。4フレアー形成(flaring) エンド三角の削合と根管口の漏斗状の形成拡大を確実に行う。根管口のフレアー形成を行うことで、器具に過剰な応力が加わらなくなる。5根管形成(shaping) 解剖学的な根管の走行を維持し、根尖孔を破壊しないよう、システム化された根管形成を行うことが重要。