ブックタイトルapollonia1803

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概要

apollonia1803

2018.03 021 今月は、作業用模型材の新しい選択について考察したいと思います。歯科用石膏模型材の操作 石膏模型材は、水と練和することによる水和反応で硬化しますが、練和時間、練和方法、混水比によって大きく物性が変わります。石膏模型材の混水比については、以前の連載「Time Management 技・ツール考」の2011年9月号および2013年8月号でも、電子天秤を用いた正確な計測の重要性について考察しました。混水比の厳守は正確な模型製作のために欠かせない工程ですが、残念ながら徹底されていない歯科医院が多いことも現実です。 的確な印象材の操作と石膏模型材の練和・注入は、正確な模型製作を行う上で大変重要な工程です。模型の仕上がりに影響を与える因子には、以下のものが挙げられます。・混水比・練和する際に使用する水の温度・真空練和器の使用など練和方法 ・硬化促進材(NaCl、二水石膏、石膏スラリー)の添加・模型の硬化時に保湿箱を使用しないことによる乾燥模型製作時のエラー 納品時の補綴物と作業用模型の適合は良好なのに、口腔内では不適合になるケースを経験した先生は多いと思います。この原因は、印象採得、咬合採得、石膏注入という歯科医院側の作業のミスによるものです。 咬合器を歯科医院で提供し、納品時に咬合器にセットした状態で納品してもらえば、原石膏とは因が歯科医院側にあるのか、歯科技工士側にあるのかは簡単に分かります。  適合精度の向上という永遠の課題に対する一つの回答は、デジタルデンティストリーという、光学印象による直接法で補綴物を製作することです。しかし、一般的な保険診療では、ヒューマンエラーの少ない石膏模型材を使用することが、正確な模型製作の要となることは間違いありません。模型の寸法精度の安定は、チェアタイム短縮の一番の近道ではないでしょうか。 鉱物の一種。天然では二水石膏(CaSO4・2H2O)と無水石膏(CaSO2)があるが、天然石膏のみでは需要に追いつかないため、化学石膏が多く用いられる。一般的な用途はセメント、装飾品など。歯科においては模型材、印象材あるいは鋳造用埋没材に用いられる。石膏の硬化機構 石膏模型材を練和する際に必要な水は、水和に必要な反応水と、適度な練和操作を得るための余剰水に分けられる。石膏の反応は、反応水をいかに完全に二水化するかに左右されることからも、混水比を厳守する重要性が理解できる。『歯科理工学教育用語集第2版』より改変CaSO4・1/2H2O+3/2H2Oα半石膏/β半石膏CaSO4・2H2O+発熱二水石膏