ブックタイトルapollonia201802

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概要

apollonia201802

2018.02 029舌炎の原因図1● 原因不明な点が多い● 修飾因子咬傷、口腔内細菌、免疫力低下など● 噛み締め習癖咬合に関与する口腔周囲筋の過緊張や、同時に起こる頬粘膜吸引、舌の外方突出五苓散の舌炎治療へのアレンジ図3● 含嗽● ステロイド軟膏・噴霧薬● 噛み締め習癖に対する緩和療法従来の治療法五苓散● 利水作用によって、舌のボリュームが抑えられると期待される応症を選別することで口内炎(舌炎)や舌の痛みに対しても有用であることが示唆された。 重要なことは「舌炎イコール五苓散」といういわゆる病名投与ではなく、注意深い医療面接や診察において、「飲水過多」や「湿った舌表面」などを投与判断基準として見逃さないことである。このことは現代医学においても医療面接が重要であることと共通している。 (2) それぞれの患者の病気がどのようにして起きているのかを、伝統的漢方・中医学の概念と基本法則によって簡明に表した病気の要点のことであり、「どこで・何が・どうなっているのか」を表す概念のこと。考察 3症例に共通する所見としては、飲水過多による「水滞」であろう。水滞による胖大舌が、舌炎および舌の痛みの原因になったと考えられる。3症例ともに「胖大舌」「飲水過多」「歯痕舌」に着目し、五苓散の利水作用によって舌の容積を改善することで、口内炎(舌炎)および舌の痛みの軽快に寄与したものと考える。 五苓散は現在の保険適応表記では「口渇」および「浮腫」に適応となっているが、これを同じく水滞の「証」(2)の舌の容積に着眼し、適五苓散の構成生薬と作用図2構成生薬成分代表的な作用沢たくしゃ瀉オモダカ科のサジオモダカの根茎を乾燥したもの利水作用蒼そうじゅつ朮/白びゃくじゅつ朮キク科のホソバオケラあるいはオケラの根茎を乾燥したもの利水作用猪ちょれい苓サルノコシカケ科のチョレイマイタケの菌核を乾燥したもの利水作用茯ぶくりょう苓サルノコシカケ科のマツホド菌の菌核を乾燥し、外皮を除いたもの利水作用桂けいひ皮クスノキ科のトンキンニッケイやその他同属植物の樹皮を乾燥したもの発汗作用左は処方薬(医療用医薬品)、右は一般薬(一般用医薬品)。通常、一般薬の生薬量は処方薬に比べて少なくなっているので理解が必要。