ブックタイトルapollonia201802
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臨床駅伝028 2018.02埼玉県蕨市・安田歯科医院 院長東京医科大学病院口腔外科学分野口腔粘膜疾患外来主任 兼任講師横浜歯科漢方研究会 世話人Yasuda Takashi第走者安田卓史3こんな患者さんが来たら?はじめに 口内炎はアフタ性口内炎をはじめ、舌炎など、口腔粘膜に起きる炎症の総称である。通常、口内炎の治療法としては副腎皮質ステロイド軟膏の塗布や含嗽などの対症療法が挙げられる。発症の原因は明らかになっていない点も多いが、硬固物摂食時の擦過刺激や歯の鋭縁、修復物や義歯の鋭縁による慢性的な擦過が代表的なものであろう。 また、われわれは口内炎の中でも舌炎患者の舌の容積増加に着目し、漢方医学的なアプローチを行っている。今回は、その中から3つの症例を紹介する。五苓散の舌炎への応用 舌炎の原因は咬傷、細菌感染、免疫力の低下や噛み締めによる舌の外方突出などが挙げられる(図1)。 舌の浮腫傾向などによる容積増加は、漢方医学において「胖はんだいぜつ大舌」という。東京医科大学病院歯科口腔外科・矯正歯科 口腔粘膜疾患専門外来では、胖大舌が一因として考えられる舌炎症例には、「五ごれいさん苓散」にて内服加療を行っている。 五苓散は沢たくしゃ瀉、朮じゅつ(蒼そうじゅつ朮あるいは白びゃくじゅつ朮)、猪ちょれい苓、茯ぶくりょう苓、桂けいひ皮の5種類の生薬から成る漢方方剤である。沢瀉、朮、猪苓、茯苓の主な作用は利水作用(1()利りすいさんしつ水滲湿)で、桂皮は身体を温め発汗を促す作用を持つ(図2)。 当科では、口内炎(舌炎)の治療に際して従来の含嗽やステロイド軟膏塗布、ステロイド噴霧に加え、漢方医学的な視点を加え、胖大舌や歯痕など「水すいたい滞(痰たんしつ湿)」の所見が強く認められる症例に対して、五苓散を用いている(図3)。(1) 強制的に組織内の水分を排出するのではなく、体内の水分の偏在である「水滞(痰湿)」を正す働きのこと 患者さんの多様な悩みへの対応法は、歯科医師によってさまざまです。スタディグループからスタディグループへ駅伝のたすきを渡すように症例検討を続けることによって、より患者さんの期待に沿える対応を探ります。漢方医学の応用による舌炎加療