ブックタイトルapollonia201802
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2018.02 025「高齢者の根面う蝕の対応に苦慮しています」今月のお題※口腔内写真は全て『デンタルアイS』で撮影。症例1を除き、撮影後に反転やトリミングはしていない 8020運動の成果が挙がり、80歳で残存歯数が20本以上の人の割合が50%を超えたという報告があります。残存歯の多い高齢者が増えている日本では、今後ますます避けられなくなる課題が、多発する根面う蝕への対応ではないでしょうか。 今回は、根面う蝕にどのように対処したらよいか、口腔内カメラの拡大映像を見ながら治療してきた立場から、大切だと感じる3つのポイントについて解説します。根面う蝕をしっかり見つけ出す 根面う蝕は視診、触診およびX線写真によって検査します。 高齢者の口腔内は歯肉が退縮し、歯間部が大きく空いています。クラウン・ブリッジや部分床義歯などの補綴物が多く装着され、歯面が複雑な形態になっているため、食物や唾液の流れが少ない不潔域が多くなっています。そして、根面は歯石やプラークに覆われているケースが多くあります。プラークがある場合は、きれいに取り除いてから根面を診査する必要があります。 口腔内カメラで拡大して見ながら注意深く根面を触診していくと、思わぬ所に根面う蝕が見つかる場合があります。口腔内カメラでいろいろな方向から注意深く観察することで、見逃しやすい部位の根面う蝕も探し出せると思います。審美性より歯質の保存を重視 根面を探針で触って硬い場合は、着色していても切削せず、経過観察にします。ある程度のう窩が出来ている場合は、感染象牙質を取り除くことになりますが、完全に取り除くと逆に歯の構造を弱くしてしまう可能性があります。 そのため、私は削り過ぎる傾向があるタービンは極力使わず、エキスカベーターで軟化した感染歯質だけを丹念に取り除き、充填しています。自ら進んでメインテナンスに来てもらう 根面う蝕は患者さんにとって気付きにくい、目立たない所に出来ます。その上、痛みなどの自覚症状もない場合が多いようです。そのため、メインテナンスの重要性を患者さんに説明しても、なかなか受診してくれません。 しかし、自分の口腔内の状態を拡大映像で見せると、「歯みがきしているはずなのに、こんなに汚れているのか」と、メインテナンスの必要性を実感してもらえます。つまり、口腔内の拡大映像を見せることで、自主的にメインテナンスに来院する高齢者が増える傾向があるのです。