ブックタイトルapollonia_1712
- ページ
- 38/40
このページは apollonia_1712 の電子ブックに掲載されている38ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは apollonia_1712 の電子ブックに掲載されている38ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
apollonia_1712
2017.12 G03コンポジットレジンの昨今 私の大学時代、コンポジットレジンは化学重合レジンが主体で、時間もかかり、物性も決して良いとはいえず、臼歯部への応用は困難でした。しかし、近年のコンポジットレジンの進化は日進月歩であり、各メーカーが競って新製品を発売しています。 MI の概念が生まれた2002年のFDI(国際歯科連盟)の総会から十数年たっても、大臼歯部の一級インレーが形成され続けている保険診療に、疑問を感じる先生も多いことと思います。 今月は、臼歯部のコンポジットレジン修復に焦点を当て、より早く確実に、審美的に修復できる方法を考察したいと思います。コンポジットレジンの歴史 1970年代に、アメリカのR. L. Bowenが開発したBis-GMA系のコンポジットレジン『アダプティック』(ジョンソン&ジョンソン)が発売されました。化学重合型であった反応系も、現在はデュアルキュア型、光重合型が主流となっています。 初期のコンポジットレジンは、シラン処理した不定形のフィラーとBis-GMA、トリエチレングリコールジメタクリラート(3G)を混合したものでした。このベースレジンは歯牙に対する接着性がなかったため、辺縁部の破折や漏洩が認められました。 コンポジットレジンの歴史は、フィラーの粉砕、粒度調整、表面処理によるレジンマトリックスへの充填技術と、色調の再現性に集約されるといえます。 色調の再現性に関しては、ナノ技術の設計でフィラーの屈折率や粒度を調整することで審美性を向上させることができました。また、充填操作性についても、ペーストのチキソトロピー性を分析・制御することで優れた材料を開発できるようになりました。コンポジットレジン修復の難しさ 臼歯部のレジン充填で一番苦労するのは、窩洞形成後の解剖学的な回復です。保険の臼歯部のレジン充填では、フロアブルタイプのコンポジットレジンを使用する先生が多いと思います。メーカーの出荷数を見ても、フロアブルタイプのコンポジットレジンの出荷数の方が勝っています。 フロアブルタイプのコンポジットレジンは、窩洞の馴染みが良く気密な充填ができることから重宝されていました。しかし、流動性を重視しているため、解剖学的形態を付与することが困難で、充填後に研磨処理をする際に形態付与する必要がありました。充填後の咬合関係を死守しつつ、審美的な形態を付与して解剖学的な形態を回復する作業は時間がかかり、大変苦心する場面でもありました。 このほど発売された『ビューティフィルフロー プラス X』(㈱松風)は、フロアブルレジンのみでは困難だった解剖学的形態付与の問題を解消するため、ペーストの流動性によって2種類のコンポジットレジンを用意した製品です。窩洞充填時の切れが良く、複雑な充填処置を容易にします。