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概要

apollonia1710

2017.10 G03フッ化物の濃度が改変 フッ化物のう蝕予防効果については、大半の歯科医師・歯科衛生士が認めています。微量元素のフッ化物は、微量の場合にのみ歯に対してう蝕予防効果をもたらします。 3月17日、厚生労働省の「フッ化物を配合する薬用歯みか?き類の使用上の注意について」という通達文書により、フッ化物の濃度が改変され、日常使用するフッ化物含有の歯磨剤にも新製品が出ました。今月は、フッ化物によるう蝕予防について考察してみたいと思います。フッ化物応用の歴史 フッ化物の研究は、1901年にイタリアのナポリ周辺地域に見られた班状歯の発見に始まります。1935年ごろには、飲料水1L当たりのフッ素イオン濃度が1mg(1ppm)であれば、班状歯もなく、う蝕予防効果も高いとされるようになりました。1945年には、アメリカのグランド・ラビットにおいて水道水にフッ化物を添加する試みが行われ、ここから水道水へのフッ化物の応用が研究・実施され、現在に至っています。 さらに、歯牙に対するフッ化物塗布、フッ化物洗口、フッ化物錠剤、フッ化物配合歯磨剤などが開発研究されました。日本でも、京都の山科地区で水道水へのフッ化物添加が行われ、疫学的に有意義な効果があったことが検証されましたが、研究終了とともに中止されました。 フッ化物の作用機序は、歯に取り込まれるとフルオロアパタイトCa10(PO4)6(F2)医歯薬出版『保存修復学専門用語集』より改変 無味無臭無色で、塩化ナトリウム型の結晶構造を持つ。歯科領域では、フッ化物イオンの供給源としてう蝕予防作用を期待し、フッ素洗口液、歯磨剤、歯面塗布剤、錠剤に配合される。 毒性としては、体重当たり4.4mg/kg程度から吐き気や下痢などの急性中毒症状が現れるとされ、11mg/kgを超えると胃洗浄などの医学的処置が必要になる。LD50(半数致死量)は0.18g/kg、体重70kgの成人の場合は5?10gである。慢性中毒症状としては、斑状歯や骨硬化症などが挙げられる。フッ化ナトリウムsodium fluorideが形成され、酸に対する溶解度を低下させるという説があります。F-イオンがハイドロキシアパタイト結晶内のOHと置換し、耐酸性効果が期待されるというものです。歯磨剤の安全性と機能性 歯磨剤の薬効成分であるフッ化物に関しては、従来は濃度の限界は1,000ppm(歯磨剤1g中にフッ化物が1mg含まれる)と定められていました。しかし今春、諸外国なみの1,500ppmまでフッ化物濃度の上限が引き上げられました。 この濃度は、ISO(国際標準化機構)の歯科部門会(TC106)に、口腔衛生用品に関する規格があり、この中のフッ化物歯磨剤に関するISO11609(Toothpaste-Requirementes, test methids and marking、1995年)に記載されています。この規格に