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概要

apollonia1709

2017.09 G03印象の重要性 歯周組織のような軟組織では、失われた組織は原因を除去すれば自然治癒力で回復します。しかし、エナメル質、象牙質といった硬組織は血管構造を持たないため、歯の一部が欠損すると回復することはありません。残された硬組織に対して生体との調和性と機能を回復させる治療が、保存、補綴治療です。 治療した歯牙を補綴する際は、長期的な予後の安定性が最優先されると思います。レジン充填のような直接法での修復は、模型を製作しないため精度の問題はありません。しかし、石膏模型を製作する間接法では、印象採得が必要です。この印象採得の精度が悪いと、当然製作した補綴物も不適合となる可能性が高くなります。今月は、印象採得について考察してみたいと思います。印象材に対する考え 硬組織と軟組織の印象では、目的が異なります。硬組織では印象材による模型を精度良く再現し、軟組織では機能を再現するという目的があります。硬組織に関しては、極力、無圧で静的な印象を採得することが重要です。いずれにしても、印象採得は口腔内を近似再現するために最も重要なステップとなります。■印象採得の手順1患者さんの歯列に適合したトレーを選択または作製する。2支台歯のマージンが歯肉溝内にあるときは、必ず圧排を行う。医歯薬出版『保存修復学専門用語集』より改変 非可逆性のハイドロコロイド印象材で、粉末型で水と練るタイプと、ペースト状の基材パックと硬化材パックが自動練和されるタイプがある。操作が簡単、安価で、適当な弾性を有し、相応の性能が得られるため、対合歯、研究用模型の印象採得のほか、寒天アルジネート連合印象に用いられる。アルジネート印象材・短時間で作業できる・親水性に優れている・石膏の注入が容易である・トレー撤去時のゆがみが少ない・寸法安定性に優れている印象材に求められる要件alginate impression material 水が約80%、寒天が12?15%、そのほか調節材として少量のホウ酸塩、硫酸塩などが含まれるハイドロコロイド印象材。60?70℃に加熱するとゾル化(液状化)し、逆に冷却するとゲル化(固形化)する。加熱や保温などのための槽(コンディショナー)や、冷却機構の付いた専門トレーが必要であるため単独で使用されることは少なく、アルジネート印象材との積層一回印象法(寒天アルジネート連合印象法)で用いられることが多い。寒天印象材agar impression material