ブックタイトルapollonia_1706

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概要

apollonia_1706

2017.06 G13院長 今回は、総義歯難症例に対するコピーデンチャー治療を説明しよう。K君 よろしくお願いします。院長 診療室でコピーデンチャー治療をしているのを見たことはある?K君 はい、先輩の先生が下顎の総義歯をコピーデンチャーで作製しているのを見学しました。院長 どのように治療していた?K君 使用中の総義歯をフラスコに入れて印象を採り、コピーデンチャーを作ります。次回、内面にラバー系の印象材を付けて印象採得、その後コピーデンチャーの咬合面にワックスを盛って咬合採得し、次回完成でした。簡単な気がしたので、私も顎堤がない無歯顎にはやろうと思いました。院長 よく観察しているね。簡単そうだよね。では、なぜコピーデンチャー治療をするのかな?K君 顎堤の吸収がひどく、通常の方法では吸着する義歯ができないからですか?院長 違うんだなあ。読みが浅いな。K君 え、違うんですか? ぜひ教えてください。どんな時にコピーデンチャー治療をするの?義歯作製が困難なパターン院長 まずは、義歯作製が困難な理由を説明しよう。①難症例の場合1) 顎堤の吸収が著明で義歯粘膜面とフィットしない2)顎位・咬合が安定しない3)筋肉・舌の不調和がある  通常の方法で義歯を作製しても義歯の安定が得られず、新義歯作製後、長期にわたる調整・修理(リベース・人工歯の交換)が必要になることが多い。 一般的には困難な顎堤の新義歯を作製する際は、不良な旧義歯を修理・調整したり、治療用義歯で調整などを行うことが多い。特に難症例であれば、口腔ニュートラルゾーンに義歯があるか、吸着が得られる義歯辺縁の形状、舌が安定する舌房の大きさ、適切な咬合平面と高径などを確認し、新義歯作製に当たることになる。②訪問診療の場合1) ユニットがないので椅子・車椅子・ベッド上で印象からセット完成までを行う2) レントゲンがなく、残根や顎骨の確認ができない3) 体調不良や姿勢の悪化で咬合採得が難しい4)旧義歯がひどい状態が多い5) ライティングが不良で口腔内の観察ができない6) 家族・介護者の歯科治療、特に義歯への理解不足で、義歯を作製すれば食事が取れると考えている7) 義歯を作製しても、口腔ケアや義歯の洗浄保管が不良になりがち③認知症患者の場合1)治療への協力が得にくい