ブックタイトルapollonia_1703
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2017.03 G03訪問診療の必要性 私が学生のころは、歯科診療というとほとんどが歯科医院で行うものでした。要介護で歩行困難な寝たきりの方でも、ストレッチャーに乗せて医院で治療を行うというのが常識だったのです。しかし今日では、在宅の寝たきりの方の治療は、ほとんどが訪問診療で行われています。 現在の歯科を取り巻く環境は、「患者さんの高齢化」「有病者、障害者の増加」「がん患者の増加」「訪問診療の需要の拡大」「有歯顎者の増加」「口腔機能が低下した患者さんの増加」など、多くの変化が起きています。特に、周術期の治療をはじめとする口腔ケアの重要性は、医科の先生や社会にも認識されるようになってきました。歯科医師や歯科衛生士の口腔ケアの重要性は、ますます高まっています。 今月は、訪問診療に用いるポータブルユニットについて考えてみたいと思います。訪問診療を始めたきっかけ 実は当院でも、つい最近まで、訪問診療というと近くの特別養護老人ホームに、急患の対処で年に一回行く程度でした。急性症状が緩和すると、ストレッチャーで患者さんを医院に連れて来てもらい、診療室で治療を継続していました。特に違和感もなく、このシステムで協力医として専門的治療を提供していました。 ところがある時、所用でその特別養護老人ホームを訪れた時、口を開けると落ちる入れ歯や、食事の時に外す入れ歯、歯周病に罹患して口腔外に飛び出た歯牙を見てあ『老年歯科医学用語辞典』より改変ぜんとしました。 担当責任者に状況を尋ねると、「実は口腔ケアは大変難しく、苦労していた」とのこと。「どうして協力医の私に連絡をくれないの?」と聞くと、「先生は忙しいので、訪問診療をお願いするのはためらわれた」とのことでした。 そこでまず、義歯の使用で困っている人と口腔ケアで困っている人をリストアップしてもらい、昨年末から訪問診療を積極的に行うことになったのです。 何らかの身体的理由により病院や診療所を受診することができない患者に対し、その患者の居所に歯科医師が出向いて診療を行うことを訪問歯科診療という。歯科医師が患者の家に出向くため、場所を選ばず、患者の搬送のための設備や経費を要さない。また、患者のストレスや介護者の負担が少ないなどの利点を有する。 その一方、在宅で診療する際の設備や環境、さらに診療時の姿勢などの問題から、診療内容が制限される。また、患者の全身状態によっては歯科診療を行うに際しての十分な安全性を確保することが難しいという欠点がある。 訪問歯科診療の対象者は全身疾患を有する老年者が多いため、診療に際しては患者の安全に対する配慮が不可欠になる。医療保険の関連では、「歯科訪問診療」の用語が使用される。訪問歯科診療home-visit dental treatment