ブックタイトルapollonia_1611
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2016.11 G03唾液とは 唾液は、99.5%の水分の他に、主に免疫に関与している有機成分と、口腔内環境を一定に保つ恒常性を維持する無機成分から構成されています。 唾液には、以下のような多岐にわたる機能があります。① 食塊形成:食べ物を嚥下しやすいよう一塊にする② 消化作用:栄養を吸収しやすいようにする③ 自浄作用:食べかすや細菌を洗い流す④ 緩衝作用:口腔内のpHを一定に保つ⑤ 溶解作用:物質を溶かす⑥ 抗菌作用:口腔内への細菌の侵入を防ぐ⑦ 抗溶解作用:酸から菌を守る⑧ 保護作用:粘膜の損傷を防ぐ⑨ 円滑作用:舌や粘膜表面を潤し、会話をスムーズにする唾液を診る意義 医科における臨床検査と比べ、歯科の保険診療では唾液検査、血液検査等の検査結果が軽視されていると言わざるを得ません。検査当日に結果を得ることができないほか、PCR法(Polymerase Chain Reaction)のような検査では、かなりの時間と費用が掛かることが敬遠される理由と思われます。残念ながら、カリエス治療、歯周病治療前後の保険診療での数値的な評価は、ポケット検査のみが一般的となっています。 歯科では「審美」という言葉がもてはやされ、製作物に対する評価が重視されていますが、なぜそのような口腔内環境になった日本歯科評論増刊 『唾液による健康づくり』p.115表、図1を改変デンタルハイジーン別冊『唾液と口腔乾燥症』p.115表を改変唾液腺の分泌物の性状による分類唾液構成物質が持つ多彩な機能漿液性耳下腺、エブネル腺粘液性口蓋腺、舌口蓋腺、後舌腺混合腺顎舌腺、舌下腺、口蓋腺、頬腺、臼後腺、前舌腺唾液の働き関連する唾液構成物質緩衝作用炭酸脱水酵素、ヒスタチン抗菌作用シスタチン、ヒスタチン、ムチン、リゾチーム、ペルオキシダーゼ抗ウイルス作用シスタミン、ムチン抗真菌作用ムスタチン組織コーティング作用アミラーゼ、シスタチン、ムチン、プロリン、リッチプロテイン、スタセリン潤滑粘弾作用ムチン、スタセリン石灰化作用シスタチン、ヒスタチン、プロリン、リッチプロテイン、スタセリン消化作用アミラーゼ、ムチンかという原因を探るための数値的変化は、なかなか論議されません。歯科医療の目的は、う蝕や歯周病の予防や治癒であり、客観的な数値で評価できる臨床検査は重要な項目となると思います。 今月は、検査項目にぜひ加えたい、唾液検査について考察します。