ブックタイトルapollonia_201608
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G10 2016.08院長 義歯の治療は少しは理解できたかな?K君 診療室での義歯の治療はスムーズになりましたが、認知症の方に応用するのにはまだ力不足です。T君 義歯は診療室での延長で、各ステップを踏めばうまくいく可能性があることが分かりました。カリエスの処置も診療室でやるのと同じですか?院長 違うよ。認知症の患者さんの多くは口を触られるのを嫌がる。それは当然だろう。歯科治療は「不快なことを我慢すれば痛みが減る」と、患者さんが治療意義を理解することで成り立っている。特にカリエスの除去では、神経に直接作用する刺激、歯牙を通しての骨伝導は不快極まりない。 まずはC1 ~ C2の小さいカリエスについて説明しよう。T君 よろしくお願いします。一般的な治療しか思いつかないのですが、他に方法があるんですか?院長 ないけど、治療方法の選択が異なる。K君 抵抗が激しい認知症の方は治療できないのでは……。院長 抵抗されてもそれなりに治療しなければいけない。われわれが諦めたら、誰が治療するんだい?K君 そうですよね。たとえ応急処置でも、やらなければいけないんですね。院長 その通り。抵抗の強い患者さんを想定しよう。治療中は開口器を使用して開口を維持する。開口器はいろいろある。お薦めはウレタンで出来た『オーラルバイト・スリム』(輸入販売元:ザイコア・インターナショナル・インク)、またはさまざまな太さの割り箸とホースで作成したオリジナルのものだ。開口しない患者さんには「Kポイント」を指で押して開口させ、開口器を使用する。T先生はKポイントは知っているね?T君 はい、知ってます。以前院長と訪問診療に行った時に教えていただきました。K君 ぜひ教えてください。院長 「Kポイント」で検索すれば分かるよ。 ただ、常に開口できるわけではないよ。K君 そんなにメジャーな知識なんですか? 調べておきます。院長 形成はまず、ポータブルユニットの5倍速で、ダイヤモンドラウンドバーで行う。初めは浸潤麻酔は使用しない。高齢者は歯髄腔が狭窄しているので、かなり深い所まで露髄せずに削れる。頭の中に歯髄腔の形態をイメージして、髄角などに近づいたらやめる。 深い所を形成する場合は5倍速の回転数を下げ、水を出さずにゆっくりカリエスを除去する。エキスカで除去するイメージだ。水が出ていないので目視しやすく、患者さんの抵抗が少ないことも多い。指の感覚で軟化象牙質の除去を行う。合間に、衛生士にエアーなどで削りかすを除去してもらうといい。 患者さんが抵抗するのは治療行為の不快感からか、神経の近くを刺激されているからかは分からないので、絶えず表情などを観察しよう。① 形成Kポイント?