ブックタイトルapollonia_1605

ページ
16/32

このページは apollonia_1605 の電子ブックに掲載されている16ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

apollonia_1605

2016.05 058 超高齢社会を迎え、医療、行政、大学教育、いずれの現場においても、急激な変化の対応に追われているようです。その中でも、大きな問題を抱えたまま現在に至っている誤嚥性肺炎については、「食・摂食嚥下」「口腔ケア」の問題とともに語られるべきものであるという認識が定着してきたものと思われます。 長く臨床経験を積むことで見えてきた高齢者の生理との向き合い方を踏まえ、最近の摂食・嚥下に関わる社会や歯科の流れについて、感じることを述べたいと思います。現場に即した摂食・嚥下アプローチへの東京都・氏家歯科医院●文:Ujiie Yoshiaki氏家賢明 氏合う義歯を入れても噛めない? 30年ほど前、「きちんと合う義歯を作っても噛めない人をどうするか? それが問題になる時代が来る」という加藤武彦先生(神奈川県・加藤歯科医院)の言葉を聞きましたが、当時、これを理解できる人がどれほどいたでしょうか。在宅診療すら珍しい時代、私自身、たまに訪問診療に出かけても義歯の修理で事足りていましたし、なまじ義歯に自信を持ち始めていたころだったこともあり、加藤先生の言葉はピンときませんでした。今となっては、摂食・嚥下において、感覚機能が重要であることを知らない歯科医療者は、急速に減りつつあることでしょう。 飲食時、目、手、口唇、舌、口腔内粘膜などの感覚受容器を通して受け取った情報(視覚、触覚、味覚、温・冷覚など)によって、自然に摂食・嚥下の機能は働くようになっています。その感覚器官に異常を来すと、印象も咬合採得もできま