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概要

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115 2015.10口腔と全身の新局面「フロス・オア・ダイ」の時代再び?大規模疫学研究―90年代の終わりごろ、バッファロー校のハワード・クラミツ教授から、「フロス・オア・ダイ」のアピールを聞いた時、「動脈硬化や心筋梗塞が怖いから歯みがきする、というようなことがあるだろうか」と疑問を抱いたものです。それまで歯みがきは、歯科疾患の予防のためと、口臭予防などのエチケットのための習慣だと考えていたからです。「フロスをしないと死ぬ」とは、何とも大げさに聞こえたのです。 しかし、日本医師会も糖尿病予防などのための口腔ケアを推奨するようになり(前回「安田編集室」参照)、歯周疾患のリスク因子が非感染性疾患群(NCDs)のリスク因子と共通するところが多いことも知られるようになってきました。再び、口腔の健康と全身の健康との関係が人々に新たな形で発信される可能性があるのではないかと見られています。近年は、どのような変化がありますか。安田 まず、カロリンスカ研究所のSoder Brigitta氏によって、デンタルプラークの付着と成人の若年死亡の関係について大規模なコホート研究が発表されました。1985年の時点で30~40歳だったストックホルム市在住の男女のうち、歯周病の病変のない人を無作為抽出し、その後を追跡したものです(上写真)。2009年までに58人が死亡しており、これらの若年死亡について、デンタルプBrigitta Soder et al., TheAssociation of Dental Plaquewith Cancer Mortality inSweden. A LongitudinalStudy, BMJ Open , 2012(2).