ブックタイトルapollonia_201509

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apollonia_201509

115 2015.09医科と歯科の境界領域を考える口腔が医科に乗っ取られる!?歯科医師の歴史的経緯―日医の広告「元気なからだは日頃の口腔ケアから」は、医師の側から口腔ケアの重要性を社会に訴えかけたという点で画期的な意義を持っているとされています。一方で、「医師が口腔の医療に乗り出してくるのではないか」と懸念する歯科医師も多いようですが、どのように考えられますか。安田 歴史的経緯を見れば、もともと歯とその周囲のごく限られた部分以外の口腔全体の医療は、まぎれもなく医師の領域です。ヨーロッパでは、「ストマトロジスト」と呼ばれる口腔医が1970年代まで口腔の医療に携わっていました。当時、例えばフランスでは、「デンティスト」の資格だけでは埋伏智歯の抜歯も許されていなかったのです。 また、ドイツでは、1952年の歯科医師法施行以前には、正規の教育を受けた「ツァーンアールツト」と、資格認定を受けただけの「デンティスト」という2種類の「歯科医師」が存在していました。―現在、ドイツ語で歯科医師の訳語はツァーンアールツトですが、昔は意味が違っていたのでしょうか。安田 歯科医師法以前のツァーンアールツトは、どちらかといえば「歯科医師」というよりは「歯科口腔領域の医師」でした。デンティストの方が安く診療するという理由で、公的医療保険の保険者はデンティストと契約する傾向にあったとされていますから、患者側が両者をどれほど峻別していたかは難しいところですが、別の職業だったことは事実です。一般には、デンティストの仕事は歯を削ったり充填したり、入れ歯を作ったりするもので、口腔全般に及ぶものではなかったわけです。 しかし戦後、口腔を診る医師が全世界で減少していき、デンティストの業務範囲がその領域に拡大。同時に、歯科学校が大学教育化されるようになり、現在に至っています。 もともとデンティストの領域であった「削って」「詰めて」「入れ歯を作って」とい