ブックタイトルapollonia_201409

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概要

apollonia_201409

2014.09 070バイオフィルム形成の機序―口腔のバイオフィルムと水道などに付着するバイオフィルムには、類似点があるとのことですが。関 細菌が付着・定着する際、最初に侵入する「先鋒細菌」が物理吸着することから始まる点です。口腔内には常在菌があるため、風呂桶などにバイオフィルムが形成されるメカニズムとは異なる点がありますが、いずれも、何らかの先鋒細菌がなければバイオフィルムがいきなり形成されることはありません。 口腔内では、唾液ペリクルに先鋒細菌が物理吸着します。水道系では、緑膿菌などシュードモナス属が先鋒細菌になることが一般的です。口腔内では、多種の菌が先鋒細菌になり得ますが、先鋒細菌自体は必ずしも「悪玉」でないことが多いものです。 問題なのは、先鋒細菌が持つ多糖体からなる莢きょうまく膜と、先鋒細菌の排泄物です。水道水消毒システムの第一人者から 歯の表面や歯周ポケットに付着するバイオフィルムは、構成する菌叢は異なりますが、発生の原理からすれば用水のスライムと極めて似た構造を持っています。長年、水道水やプール水の水質改善に取り組んできた関秀行氏によれば、「自然界で起きていることには類似性がある」とのこと。関氏は、水質を出発点としてさまざまな分野を有機化学の観点から見直してきており、世界の水道事情にも精通しています。 新たな視点から歯科疾患を考え直します。口腔ケアとはバイオフィルム対策●取材・文: 編集部●取材協力:関 秀行Seki Hideyuki氏㈱メルス技研代表取締役横浜国立大学工学部卒、気相接触反応触媒、製薬メーカーにて薬効成分等有機合成、熱分析機器、水質計装の研究開発に携わったのち独立。スイミングプールなどの水質改善に長年携わっている。