ブックタイトルap_tachiyomi_1310

ページ
13/14

このページは ap_tachiyomi_1310 の電子ブックに掲載されている13ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ap_tachiyomi_1310

ブックを読む

Flash版でブックを開く

概要

ap_tachiyomi_1310

115 2013.10 「負担増」への批判は妥当か?社会保障制度改革報告書高齢者医療の削減を方向付けた―社会保障制度改革国民会議の報告書は、総論として、「少子高齢化の進行」「非正規雇用労働者の増加」などの社会環境の変化により、経済成長よりも社会保障費の伸びが上回っていることが財政的な危機を招いているとした上で、第一に、「高齢者世代に重点を置いた社会保障」から、「全世代対象型の社会保障」への切り替えを求めています。これにはどのような意義があるのでしょうか。安田 高齢者重視というのは、今後、減少し続ける生産人口から、非生産人口への資産の移転を意味しますから、弱者救済、所得再分配の意義を持ちます。しかし、近年の新自由主義の価値観からすれば、このような在り方は、・単なるコストの浪費であり、健康な生産人口の増加による生産・消費の拡大につながる投資にはならないとの批判があります。つまり、高齢者への手当てを重視しても、生産・消費の拡大にはつながりにくい。だから、手厚い給付は必要ないという論法です。 OECD諸国の中で、日本は85歳以上の人口割合がイタリアに次いで多い国となっています。例外はありますが、85歳以上の人の多くは生産活動に寄与する可能性が低いため、彼らに積極的な医療を提供する意義は低いと見なす見方もあります。事実、高負担高福祉の国として知られる北欧諸国でも、一定以上の年齢の高齢者に対して積極的な医療は提供されにくい制度となっています。 日本の平均寿命は世界で最も高いレベルにありますが、健康寿命は必ずしも高くない。つまり、病悩期が長く、QOLの低い終末期を強制されている高齢者が多い可能性があるのです。改革推進法の第6条第3 号でも、「個人の尊厳が重んぜられ、患者の意思がより尊重されるよう必要な見直しを行い、特に人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境を整備する」とあります。 寝たきりになった人を無理に「生かす」ような過剰な高齢者医療が横行しているのは、当の高齢者にとっても、QOLや生命の尊厳という意味において、かえって迷惑なのではないかと思うことがあります。 本人が望んでいない医療が提供されてし