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0692013.05白衣の後ろに「支配」の二文字 私がウェイトレスをしているカフェは、元のオーナーがチベットに喫茶店を出すことになったのがきっかけで、私が権利を買い取ることになりました。 当初は迷っていたのですが、患者さんでもあるはり絵作家の内田正泰先生(91)が、「ぜひ喫茶店で働くべきだ。あなたは白衣を着て歯科医師をして、『先生』と呼ばれることに疑問を持たないまま終わる人ではないだろう」と、背中を押してくださったの前オーナーから託されたコーヒーの木。喫茶店を譲り受けた時に熟した実を医院に持ち帰って植えた。4年たち、80㎝にもなったが、今も店で育てている。一緒に総義歯セミナーを主宰している松下寛氏(東京都開業)が、お客さま役になってくれた。水曜日午後2時からのシフトで勤務している(歯科医師会の健診事業などの時はそちらを優先)。歯科医療関係者の来店は歓迎だが、「先生」と呼ぶのはNG。ウェイトレス修行に踏み切る勇気を与えてくれた内田さんの作品。「白鳥の、光の当たっている側は歯科医師としての側面。もう一つの影の側面を持たなければ、これ以上、人間的に広がっていかないよ」というメッセージと受け取っている。です。 また、他の患者さんに、「あなた、気づいていないだろうけど、白衣の後ろに『支配』の二文字が見えるよ」と言われたこともあります。当時、私は52歳でしたが、人生の先輩が多く来院する下町の歯科医院なので、皆、率直にアドバイスしてくださいました。そして、素のままの自分とはどんなものなのかと、興味を持ったのです。その結果、私に修行の場が与えられることになったといえるでしょう。 以前、「他業種に学ぶ接遇」というセミナーが、歯科界ではやった時期がありました。しかしなぜか、今やそれらの多くはあまり高く評価されていません。その理由を考えると、・形ばかりをマネしても、気の利かない応対しかできないためだと思います。歯科医師とウェイトレスとで、何が本質的に違うのか。それは「気を利かせる」ということの意味が、医療現場とサービス業態では全く異なるという点でしょう。 歯科医院で気を使うのは、患者さんの症