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0572012.11特 集医科との手のつなぎ方(下)宇宙医学、宇宙歯学の意義宇宙環境は寝たきりに近い? 2012年現在、地上400㎞上空に設置されている国際宇宙ステーション(ISS)では多様な実験・研究、地球や天体の観....

0572012.11特 集医科との手のつなぎ方(下)宇宙医学、宇宙歯学の意義宇宙環境は寝たきりに近い? 2012年現在、地上400㎞上空に設置されている国際宇宙ステーション(ISS)では多様な実験・研究、地球や天体の観測などが行われています。日本はISSの一部となる「きぼう」日本実験棟を開発したり、宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)によって補給物資を輸送するなど、さまざまな形で宇宙開発に貢献しています。 HTVの輸送物資の中で、日本宇宙食は宇宙飛行士に人気があります。いろいろな食品があり、その多くは地上でも消費されている一般製品と大きく変わりません。吸い口の形状や包装の不燃性といった容器・包装の安全性、1年半以上の長期保存性、基準内の細菌数などの条件を満たす衛生性、危険要因がないこと、空気清浄度への影響が小さいこと(粉が出ないなど)、特異な臭気を持たないことなどの条件を満たしていればよく、羊羹、サバの味噌煮などの和食が、外国人飛行士にも好まれています。 いわゆる「日本宇宙食」のラインナップは、JAXAのホームページで見ることができます。今後も増えることが予想されますが、・宇宙空間では味の濃いものが好まれる傾向にあるという事実があります。宇宙では体液シフトの影響から、鼻が詰まりやすくなることが影響していると考えられていますが、唾液量が減少している可能性もあり、その影響も考えられます。 宇宙でも、咀嚼によって刺激唾液の流量を維持することが、口腔の健康、ひいてはADLの維持につながります。かつてスカイラブ計画時代には、・出発前の宇宙飛行士に宇宙食を摂取させたところ、歯肉溝滲出液中の総嫌気性菌数などが増加したという実験結果(Lee R. Brownら、1974年)が示されたこともあります。これには当時の宇宙食の形状が影響していると考えられています。現在では常食にかなり近いものが提供されるようになっていますが、粉末や液体が飛び散らないように粘性が高くなっているため、やはり口腔疾患に影響を与える可能性が考えられます。 今後、宇宙食の形状などを改善するだけでなく、口腔機能向上プログラムを出発前からトレーニングしておき、ISS内で実践してもらうことも、一考に価するでしょう。 地上の生活に適応した人間が宇宙空間に移動すれば、骨が弱くなり、地上での寝たきりに近い状態になります。このことから、ISSでの生活によって得られ国際宇宙ステーション(ISS)の概要・ 2000年より宇宙飛行士3人が常駐を開始し、2009年からは6人体制・ 地上約400km上空に建設された人類史上最大の宇宙施設。サッカー場ほどの大きさで、質量は約420トン・ 内部の重力は、地上の約100万分の1・ 1回の滞在時間は5~6カ月・ 2009年には日本初の有人実験施設「きぼう」が接続。ISS中で最大の実験モジュールになった・ スペースシャトルでの輸送終了後は、日本の宇宙ステーション補給機(HTV)が輸送業務を担っている