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051 2012.06特 集インプラントとの関わり方(下)現状と注意点メーカー主導はNGで精密な視診が必要 今や、初診で来院した患者さんの口腔内にインプラントが入っていることは珍しくなくなりました。その場合、どの....

051 2012.06特 集インプラントとの関わり方(下)現状と注意点メーカー主導はNGで精密な視診が必要 今や、初診で来院した患者さんの口腔内にインプラントが入っていることは珍しくなくなりました。その場合、どのようなインプラント処置がされているかによって、メインテナンスの方向性もそれなりに左右されます。そのため、『このインプラントなに?』(簗瀬武史ら、2011年、医歯薬出版)のような書物が重要性を持つのですが、最終的に抜去が検討される場合は、歯科衛生士単独で関わることは危険です。 さらに、近年のインプラントメインテナンスで危惧されるのは、メインテナンスの目的、評価基準、手技が医院単位で統一されていないことです。いわば歯科衛生士に「丸投げ」している医院も少なくありません。 ほとんどの歯科衛生士は、インプラントメインテナンスについて標準的な教育訓練を受けておらず、メーカー主催のセミナーで受講した内容をそのまま医院で適用しようとする傾向があります。インプラントメインテナンスは、方法論や評価基準に国際的な統一見解がなく、それだけに日進月歩なのですが、これにキャッチアップして同じ方向性を共有するためには、歯科医師の主導が必要です。「インプラント周囲炎の段階に至った場合は歯科医師だけが対応する」とルール化している歯科医院もあります。 裸眼では天然歯と区別できないような修復物も登場していますから、問診の段階でインプラント埋入の事実が確認できなかったとしても注意すべきでしょう。拡大鏡による視認、X線画像による診断結果を診療チーム全体で共有する必要があります。 その歯科医院がインプラントの施術を行っていないとしても、メインテナンスの初診段階では、インプラントが他院で埋入されている可能性を考慮した上で精密検査、画像診断、唾液検査を行い、できればオプションとしてCRPなどの臨床検査(外注)も実施することが望ましいと考えられます。 また、インプラントに限らず、ケアゾーンで歯科衛生士が行う施術には、「補綴物を意識する」という課題があります。本来、補綴物はラボで鏡面研磨されて完成品となるので、歯科衛生士が口腔内で行うのは再研磨のレベルでしかないのが現状です。天然歯と違い再石灰化しない補綴物は、誤った研磨により表面に付いた傷が腐食やバイオフィルムの原因となることが分かってきています。そのため、ケースによってはマイクロファイバー製のフロスを活用する、またはタフト型の毛先を付けた音波ブラシを使用することで、隣接面や歯肉縁下のプラーク、バイオフィルムを除去します。 誤った研磨や患者さんの使用する研磨力の強いペーストにより、修復物のツヤが装着早々から消失しないよう、慎重に口腔内を観察し、最終セットされた補綴物やインプラントを機械的清掃で傷付けないよう、継続可能で適切なケアプランを立案することが必要となります。 インプラントの普及によって、・メインテナンス=歯科衛生士の専管事項ではなく、チームで対応するものというルールが出来たと考えてよいでしょう。そのために、誰もが認識を共有できるフローチャートを作成することをお勧めします。