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2012.06 080法医学から見たインプラントトラブルインプラントトラブル法医学予測されるリスクの把握が重要から見た医療安全の考え方血液感染症予防だけでは十分でない 医療における安心・安全に関する取り組みには....

2012.06 080法医学から見たインプラントトラブルインプラントトラブル法医学予測されるリスクの把握が重要から見た医療安全の考え方血液感染症予防だけでは十分でない 医療における安心・安全に関する取り組みには、「感染予防対策」も含まれます。インプラントは、顎骨に不可逆的な損傷を意図的に加える外科手術を伴いますから、確かに血液感染症の感染予防対策は重要ですが、・輸血治療等が極めて少ない歯科治療においては、患者さんが血液感染症に罹患した明確なケースはほとんど耳にしないのです。  アメリカで発生した「キンバリー事件」は、歯科医師が意図的に自分が罹患していた血液感染症を患者さんにうつした傷害事件であり、医療法の求める医療安全とは直接の関係性を持ちません。国内で記憶に新しいところでは、インプラントの使い回し治療を行っていた事例があり、被害患者が担当医を提訴しているようですが、感染被害が訴状にあるかは不明です。 血液感染症対策には、「ここまでやれI nterview 安心・安全な歯科医療を提供することを医療者に義務付ける医療法の要求に対して、特にインプラントが安全な状況で患者さんに提供されているのか、歯科界でも懸念が広がっています。安心・安全は、「ここまで対応すれば大丈夫」という上限がない上、歯科医療機関の多くが小規模で、互いの情報共有がなされにくい状況にあるため、安心・安全に関しての共通認識の形成が難しい面があります。インプラントは、歯科界が抱える医療安全の問題が最も顕在化しやすい領域の一つであるといえるのではないでしょうか。 法医学の立場から、昨今のインプラントトラブルの背景について解説します。佐藤慶太氏Sato Keita鶴見大学歯学部法医歯学准教授