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2012.05 062I nterview 私は、検査医・病理医としてインプラントについてのセカンドオピニオンを求められることが少なくありませんが、そこでは「インプラントは病態」という説明をしています。しかし、そのことで....
2012.05 062I nterview 私は、検査医・病理医としてインプラントについてのセカンドオピニオンを求められることが少なくありませんが、そこでは「インプラントは病態」という説明をしています。しかし、そのことでかえって患者さんの信頼を得られ、納得してもらった上でインプラント治療を行うケースが多くなっています。逆にいえば、昨今のインプラントバッシングは、患者さんに十分な説明や安全のための措置を講じてこなかったためだといえるでしょう。 インプラントは上皮組織を意図的かつ不可逆的に破壊し、非自己のフィクスチャーを生体の内部である顎骨に埋入するのが原理ですから、「病態」と見なすことができます。病理学ではこのことは古くから指摘されていましたが、患者さんに説明する歯科医師は極めて少数ではないでしょうか。インプラントの特殊性生体の連続性を破壊する 歯科用インプラントは、表皮(粘膜)が維持している生体の連続性を意図的に断裂し、生体の内部(骨)と外部(口腔)を交通させ、そこにフィクスチャーを残置するという特殊性があります。つまり、非自己の存在により表皮的治癒が期待できない創傷であるだけでなく、常に感染の危険性をはらんでいるのです(図表1、2)。 一般的には、埋入本数に対するインプラント周囲炎の発生率は数十%程度とされていますが、原理的には、全てのインプラントは周囲炎に移行する「傷」であると考えてもよいでしょう。 もちろん、診断、術式、再評価が正しく、セルフケアも含めてきちんとアフターフォローできていれば、10年、20年後の「成功率」(フィクスチャーが残っているだけでなく、上部構造も含めて機能が維持されている)が90%に上るという長期的な評価もありますから、外科手術を伴う治療全体を見渡せば、特にハイリスクではないと思われます。問題は、・ハイリスクなインプラントの「現場」は病理学の立場から井上 孝氏Inoue Takashi東京歯科大学教授トラブル回避のためのリスク説明