図❶ Primescan 2。2024年に発売された、デンツプライシロナ社の最新口腔内スキャナー。ワイヤレス化された世界初のクラウドベース口腔内スキャナーである Primescan 250 2024年に口腔内スキャナーによるスキャニングが保険収載されたことから、本邦で口腔内スキャナーの普及が盛んである。また、院内で使用する口腔内スキャナー、各種CAD/CAM機器および画像診断装置等のデジタルデータの共有にクラウドサービスの応用が始まっている。 筆者は、遡ること21年前に口腔内スキャナーデバイスと切削加工装置が初めて分割された歯科用CAD/CAMシステムCEREC 3(シロナデンタルシステムズ)を用い、その機器間におけるデータの同一性を実際の修復物の寸法や支台への適合性を評価することで、将来の電子的なデータの送受信の安全性を評価し、診療室と歯科技工所の電子的連携について検討した1)。まだ歯科界ではアナログによる歯科技工が主流であった当時でも、電子的な技工データの送受信の利便性に大きな期待をもったことを憶えている。 以来、歯科技工の電子発注は当たり前のように日常臨床で活用されているが、昨年末に発表されたデンツプライシロナ社の最新の口腔内スキャナーPrimescan 2(図1)は、従来の電子的なデータ送受信の利便性に留まらない、クラウドサービスを応用した口腔内スキャニングを特徴として注目を集めている。 本特集では、世界初のクラウドベーススキャナーであるPrimescan 2について紹介するとともに、形成歯の感染・汚染を排除するために介入前からラバーダム防湿を施すことを条件にした、口腔内スキャニングにクラウドサービスを応用するテクニックについても解説する。 Primescan 2は、2024年に発売されたデンツプライシロナ社の最新口腔内スキャナーであり、世界初のクラウドベース口腔内スキャナーでもある。その概要を図2に、従来のセレックプライムスキャンとの比較を表1に示す。 まず、その名称から従来のセレックプライムスキャンに冠された「セレック」が外され、Primescan 2となった。これはセレックによる歯冠修復のための口腔内スキャナーであるだけではなく、多様な口腔内のスキャニング用途に対応するために開発された所以と思われる。 外形の特徴として、スキャナーからケーブルが排除されたワイヤレス化が大きな特徴である。本体重量はセレックプライムスキャンより若干重く、全長はわずかに長くなったものの(図3)、スキャニング時にケーブルに引っ張られることなく全顎にわたってスキャナーを自由に移動できるため、操作感は非常に軽い印象であり、フルマウススキャニング時に臼歯部から前歯部への移行部や正中を超
元のページ ../index.html#11