DHstyle 2025年春号
16/19

110 DHstyle 2025 SPRING IOS(口腔内スキャナー)やマイクロスコープを用いて画像や動画を撮影すれば、患者さんの視覚に訴える効果的なOHI(Oral Hygiene Instruction)を行えます。今号では、症例を供覧しながら、データの有効な活用方法を紹介します。1.患者概要患者:27歳、女性。専門学校生初診時:2024年8月(図1)主訴:朝起きたら、いつも口の中から出血している。家族から口臭を指摘された診断:広汎性歯周炎、ステージⅡ、グレードA現病歴:とくになし口腔内状況:中学生のときに矯正歯科治療を受けており、歯列は比較的整っているが、歯面には矯正装置のレジンが残ったままでした。77にはC3のう蝕を認めたが、本人はまったく痛みを感じず、大きな穴が空いているのにも気づいていなかったことから、口腔内に関心がない様子です。全顎的にプラークが付着し、歯肉縁上・縁下歯石の沈着、歯肉の発赤・腫脹・出血が認められます。 現在は専門学校生です。以前は就職しており仕事が忙しく、歯科を受診する時間がなかったそうです。そのうえ転勤が多く、特定の歯科医院での受診はできない状況であったとのことです。診査の結果、う蝕の治療と並行して歯周治療も行うこととなりました。2.指導にあたって 口腔内の疾患の原因は細菌であることを理解してもらうために、マイクロスコープを用いて撮影した画像で歯面のプラーク付着部分を見てもらいました。さらに、位相差顕微鏡を用いてプラークを可視化し、口腔衛生状態の現状を患者さんに説明しました。加えて、細菌検査を行い、原因となっている口腔内の細菌のリスクを調べました。最後に2機種のIOSで全顎の光学印象を行い、自身の口腔内に関心をもってもらう口腔内にほとんど興味がない患者さん【河野】IOSとマイクロスコープで“見せる”OHIの実際

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る