22 DHstyle 2025 SPRING 当院は、2005年の開業後10年間は、矯正歯科治療のみを行う歯科医院でしたが、2015年以降から現在までの9年間は、矯正歯科治療と非常勤である一般歯科医によるその他の治療も行っています。患者層は小児から高齢者まで幅広く、開業時より矯正歯科治療中とその前後における歯列形態の改善のみならず、口腔筋機能の改善が必要とされる患者さんや口腔機能の低下が認められる方にも、口腔筋機能療法(以下、MFT)、体癖・姿勢・呼吸・運動・食事などの指導を自費診療にて行ってきました。MFTが保険導入されてからは、保険算定可能な患者さんに対しては、その範囲内で対応しています。 MFTが保険算定できるようになってから、知識も方法ももたない歯科医院で「診査・診断・指導ができるのか」、「マニュアルに沿ってトレーニングを行ったとして、患者にとって有益な指導を行えるのか」、「結果は出せるのか」、そして「患者さんは、保険点数稼ぎの犠牲にならなくて済むのか」と感じてきました。しかし、保険算定に導入されてから7年、動画やWebセミナーなどで多くの情報が発信されており、指導しやすい環境になったと思います。 ただし、なかには患者さんの診断・評価がなされていないケースもみられ、自由発信も善し悪しだと感じています。開業以来、長期にわたりMFTを実施している当院でも、患者さんごとに個別化した指導は非常に難しいと感じています。それらの問題を解決するには、歯科医師の診断が欠かせません。◉患者にとって有益である歯科医師の診断 歯科医療を行うには、歯科医師の診断が必須です。同様に、MFTも患者さんの歯科診療や予防診療に必要、または有益であると歯科医師が判断した場合には、診査・診断を行います。その結果を歯科医師・患者さん・歯科衛生士の三者でMFTの必要性と、それらが有益と考えられる検査の結果を共有し、実施の承諾を得たうえで指導を行わなくてはなりません。口腔機能発達不全症や口腔機能低個別化した診断と指導の勧めMFT活用のタイミングは?MFT活用のタイミングは?
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