喉頭蓋谷b:梨状陥凹、喉頭蓋谷梨状陥凹図❹ 舌の痛みを訴えて訪問診療を受診した、アレンドロン酸内服中の80歳代女性。舌粘膜に発赤を認め、薬剤の残留による粘膜刺激が疑われた。経管栄養中であったため、胃ろうからの薬剤投与に変更したところ、1週間後に軽快した(左:初診時、右:1週間後)c:食道第2狭窄部、下部食道括約筋の上部甲状軟骨第1狭窄部輪状軟骨第2狭窄部下部食道括約筋大動脈気管支横隔膜噴門胃 錠剤嚥下障害の評価58a:口腔前庭、口蓋、舌背、口腔底、歯間部やう窩図❸ 薬剤が残留しやすい部位(口腔前庭、口蓋、舌背、口腔底、歯間部やう窩)(参考文献8)より引用改変)損傷は薬剤そのものの直接作用のほか、非ステロイド性消炎鎮痛薬ではプロスタグランジン合成阻害による局所粘膜血流障害、テトラサイクリン系製剤やカリウム製剤では周囲のpHが下がり浸透圧が上昇するためといわれている。 また、骨粗鬆症患者の代表的治療薬であるビスホスホネート製剤は、粘膜のバリア機能に関与するホスファチジルコリンと構造が類似している。そのため、ホスファチジルコリンがビスホスホネート製剤に置換されることで粘膜防御機構が不十分となり、粘膜損傷が生じる(図4)。 薬剤が誤嚥されると気管や肺組織に損傷が生じる。とくに錠剤やカプセル剤がそのまま誤嚥されると、気道損傷や窒息などの重大事象を招くことがある。また、鉄剤には粘膜腐食作用があり、いったん気道に入ると、溶けて気管支壊死を起こして気管支を狭窄し、無気肺を惹起することがある。 食物を対象とした摂食嚥下機能の検査方法は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会などで検討され公表されている。しかし、薬剤の嚥下に関する評価方法は数少ない。 「PILL-5〔日本語版〕アセスメントツール」(以下、PILL-5)は、薬剤に特化した嚥下障害の評価票である(図5)。PILL-5は5つの質問から構成され、それぞれ「なし~毎回あった」の5段階(0~4)で回答する。合計点数が6点未満は正常、6~11点は軽度~中
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