54 Case Report 不正咬合の成り立ち 不正咬合には,そこに至るまでのストーリーがある.それにはまず前提として,健康的で魅力的な顔,正しい歯列となる可能性を子どもたちの誰しもがもっていると信じることからスタートする.身体を構成するすべての細胞は全体の地図をもっており,自分の領域で必要とされることに最善を尽くす(Cell Volition Theory)4,6. ただし,それは環境の影響を受ける.それぞれ異なる矯正治療を受けた一卵性双生児は,顔貌に異なる結果が認められることが際立つ1つの特徴として挙げられる4~6.現代のエピジェネティクスの分野では,DNAにはその働きをONにしたりOFFにしたりするスイッチのような仕組みがあることがわかっている.細胞に作用する環境刺激は細胞内プロセスを装飾し,その遺伝子発現を変化させる. 現代の生活環境は密閉された室内で過ごすことが多く,アレルゲンに晒されて鼻閉を起こすと口呼吸,Open Mouth Postureとなる.軟食も弱い筋に繋がっている.授乳期間の短縮は嚥下機能にもかかわる(Mastantlos Hypothesis)6. ライフスタイルの変化は,とくに子どもたちに影響を及ぼしている.口呼吸と誤った筋機能習慣によって成長の前提条件(Tropic Premise)は満たされず,顔の前方への成長不足を引き起こし,その代償が歯に現れる.私たちがみている不正咬合は結果であり,そこにはロジックがある. 生まれてすぐの赤ちゃんはお母さんの乳房を探し当てると,口唇を閉鎖し,舌と下顎が連携してリズミカルな蠕動運動で母乳を搾り出す.サッキング(吸引)ではなく上顎に舌をプッシュする嚥下である.もちろん鼻呼吸をしている.この一連の自然な運動は誰かに教えられたのではなく,生きるための生命活動としてすでに備わっている.現代社会の生活習慣のどこかで忘れてきた本来の正しい機能は子どもたちの潜在意識の中に確かにあり,一つひとつの細胞はその遠い記憶を「知っている」.すべての子どもたちがもっと前へと成長する可能性をもっているとするならば,本当の敵は何だろうか?装置の選び方と使い方 振り返ってみると,以前と今では装置の選択が異なることも多々ある.どの装置を使っても治せると図32a~c Myobrace®の間違った使用方法.筋緊張がなく脱力した状態で使用していると舌は口蓋から離れ,切端咬合や開咬になる.間違った使い方図33a~c Myobrace®の正しい使用方法.Postureを保つためにはある程度の筋緊張を要する.Myobrace®は正しく使用してこそ効果を発揮する.正しい使い方cbacba株式会社オーティカ・インターナショナル
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