Q43A43エアブローではわずかに剥がれるがプローブでは容易に剥がれた症例88プローブで歯髄が象牙質から剥がれてくるのを確認する方法は?筆者はプローブを用いた方法は採用せず,エアブローで歯髄が象牙質から剥離しているかどうかを確認しています.図31a Q23(P.59)の図 2 の歯髄.図31d 歯髄周囲全体がプローブでは剥がれる. 歯髄が象牙質から剥離するかどうかを診断の指標とする方法は,筆者も試行錯誤の過程で10年以上前の初期の症例はプローブを用いて判断していましたが,現在は採用していません. エアブローによる方法とプローブによる方法とで,どちらの診断精度が優れているかを比較検討した研究は,現在のところ存在しないため,あくまで推測の域を出ません.両者に差がない可能性もありますが,一般的に考えると,エアブローよりもプローブのほうが,象牙質と歯髄が本来は付着している症例に対しても,それを物理図31b エアブローでわずかに歯髄が剥がれる.図31e 全体を触っているうちに歯髄全体が剥がれてきた.図31c プローブでは容易に剥がれる.図31f プローブで冠部歯髄が除去された.的に剥がしてしまうリスクがあると考えられます.したがって,プローブを用いた方法は,グレーゾーンに位置する症例を除外しやすく,適応症をより確実に,歯髄保存が可能な症例に絞り込むアプローチであると考えられます.一方で,筆者がエアブローによる確認方法を採用している理由は,できるだけ多くの歯髄を保存したいという考えに基づいています. ただし,ここで述べた見解は,筆者自身の臨床経験と想像に基づくものであり,現時点で科学的根拠に裏づけられたものではないことをご理解ください(図31).
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