は 34.62%,PPD < 5 mm は 6.7%,PPD < 6 mm は30.45%でした.全体的な傾向として,歯周治療のゴールは,実際の臨床ではほとんどクリアできていないということがわかるかと思います.ただし,「多くの歯周炎患者は治療のゴールを達成していないが,メインテナンス中にほとんどの歯を保存できている」と,Rattuらは結論づけています. もちろん,歯周ポケットが浅くBOPが少ないほうが歯の喪失リスクは低くなるため,高い基準のゴールを設定することは理想的です.しかしながら,世界的には「ポケットとともに生きていく」という選択肢も許容されてきていると筆者は感じています.Column 歯周炎患者のメインテナンスの基準は,≧ 4 mmの歯周ポケットがないというのが一般的だと思われます.一方で,本書で解説しているEFPガイドラインでは,治療のエンドポイントは次のように定義されています 1 . ◦> 4 mmかつBOP(+)の歯周ポケットがない ◦≧ 6 mmの深い歯周ポケットがない すなわち,PPD = 4 mm かつ BOP( + )あるいはPPD = 5 mmかつBOP(−)は,EFPでは歯周治療のゴールとして許容されているということです. 治療のゴールというのは, 論文やガイドラインによってもさまざまな基準があり,Rattuらのシステマティックレビュー 2 では,さまざまな論文において,メインテナンス開始時にどのくらい歯周治療のゴールが達成できているかを解析しています.歯周治療のゴールに関しては, 5 つの基準で評価しています(下図). 結果をまとめると,メインテナンス開始時に各基準を達成できた割合は, 安定した歯周炎は1.35%, 治療のエンドポイントは11%,コントロールされた歯周病PPD < 6 mm【コントロールされた歯周炎】PPD ≧ 5 mmの部位が 4 か所以下30.45%34.62%1.35%6.7%11%150参考文献1 . Sanz M, Herrera D, Kebschull M, Chapple I, Jepsen S, Beglundh T, Sculean A, Tonetti MS;EFP Workshop Participants and Method-ological Consultants. Treatment of stage I-III periodontitis-The EFP S3 level clinical practice guideline. J Clin Periodontol. 2020 Jul;47 Suppl 22(Suppl 22):4‐60.2 . Rattu V, Raindi D, Antonoglou G, Nibali L. Prevalence of stable and successfully treated periodontitis subjects and incidence of subsequent tooth loss within supportive periodontal care:A systematic review with meta-analyses. J Clin Periodontol. 2023 Oct;50(10):1371‐89.【安定した歯周炎(歯周病の新分類の基準)】PPD ≦ 4 mmおよびBOP <10%(PPD = 4 mmの部位にはBOPがない)PPD < 5 mm【治療のエンドポイント(EFPガイドラインの基準)】PPD > 4 mmの部位でBOPがない,PPD ≧ 6 mmの部位がないGOAL3歯周治療のゴールはどこ?担当:星 嵩
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