また,テクニックセンシティブな部分もあるため,ここでは実際の臨床例を提示しながら,前述の内容を補足しつつ,直感的に理解しやすいように解説していきたい. 歯周組織再生療法を行うにあたって,文献上のデータを頭に入れて,確かな情報の下で行うことはもちろんのことであるが,実際の治療ではその手技や材料の選択など,症例によって術者が決定していく必要がある.初診時図A,B 初診時の口腔内およびデンタルエックス線写真.骨欠損の形態以外でも歯肉の厚みや角化歯肉幅,骨欠損側の歯間幅を術前に把握し,歯周組織再生療法の術式を決定する.本症例は頬側からのみのアクセスでデブライドメントが可能であった.また歯肉は厚く,角化歯肉幅も十分にあり,歯間幅は 2 mm 前後であったことから,骨欠損のある歯間乳頭部の切開を避けるEPPT(Entire Papilla Preservation Technique)の術式を選択した.B:₃遠心部に 2 壁性の骨欠損が認められる.切開,剥離図C 健全側の隅角から歯頸部に対して90°の角度になるように切開を行う. またメスの当てる角度は歯肉に対して必ず垂直になるように行う(フェザー替刃メス No.15c〔フェザー安全剃刀〕を使用).テンションのかかっている状態で剥離すると,フラップの断裂を起こすことがあるため注意しよう!図F マイクロ剥離子で慎重に剥離していく.テンションが少しでもかかるようなら追加の切開を加える.テンションのかかっている状態で剥離すると,フラップの断裂を起こすことがある.また視野が確保された状態で遠心部の歯根と歯肉をメスで切開する(骨膜剥離子トンネリングインスツルメント# 3〔マイクロテック〕を使用 ).図D フラップに可動性をもたせるために,歯肉歯槽粘膜境(MGJ)を越えるところまで切開を加える.図E 歯頸部に沿って歯肉溝切開を行う(フェザー替刃メス No.390〔フェザー安全剃刀〕を使用).写真で解説!125Case 36 垂直性骨欠損に対して,EPPTを用いて歯周組織再生療法を行った症例AB担当:川名部 大歯周組織再生療法を行ううえで歯科医師が知っておきたい勘所!
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