臨床家のための矯正_YEARBOOK2025
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株式会社プロシード臨床家のための矯正 YEARBOOK 2025107えられている埋伏歯であり,移転歯でもある上顎犬歯を,トルクを付与しながら近心移動を行った.犬歯の歯髄も正常反応であり,ここまでの治療経過は良好である. 治療終了後は,長期的な予後を注意深く観察し,さらなる臨床応用の可能性を検討していきたい.[症例 2(図16〜24)]  本 症 例 で も, デ ュ ア ル・ ト ッ プ  オ ー ト ス クリューⅢ(歯科矯正用アンカースクリュー)を用いること,また近心移動方法を工夫することで,困難と考症例 2 のまとめ頬側図17 移転歯の萌出が進むと,歯槽骨の幅が狭くなり, 移転歯を入れ替えるスペースが不足する.口蓋側図16 症例2.初診時のパノラマエックス線写真.₃の埋伏を認める.図18 症例2.埋伏している₃を開窓,牽引する.図20 症例2.歯冠側のスクリューに₃ 歯冠が当たることで,その位置(赤点部)が回転中心となり,歯根を近心に移動させる.図21 症例2.₃歯根の近心移動が確認できる.図19 症例2.₃歯冠の牽引にともない,歯根は遠心(大臼歯部)に移動した.図20 図21

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