咬合の臨床応用
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ab10機能的運動範囲の採得法140図 10-11  a: 正 確 に カ スタマイズされたプロビジョナルレストレーションのスキャンデータ.b: 支台歯形成データとプロビジョナルレストレーションデータのマッチング.デジタルワークフローの最大の利点は,カスタマイズしたプロビジョナルレストレーションを簡単にコピーし,歯科技工所と共有できる点にあり,プロビジョナルレストレーションのスキャンデータを歯科技工所に送信し,これを支台歯形成後のスキャンデータとマッチングさせることが可能となる(図10-11).より精度の高いスキャンデータのマッチングを行うには,プロビジョナルレストレーションと支台歯の一部を個別にスキャンする方法(セグメンタルスキャン)がある.これにより,軟組織である歯肉ではなく,硬組織を基準とするより確実で予測性の高いマッチングが可能となる(図10-12および10-13).下顎運動記録装置:下顎運動を記録し,それをバーチャル咬合器に組み込む目的で,数多くの電子機器が開発されている.これらの機器は有用ではあるが使用が難しく,時間と費用がかかるという問題がある.また,咬合を変更する場合(たとえば咬合挙上を行う場合)には,カスタマイズしたプロビジョナルレストレーションを用いてテストする必要がある.これらの電子機器は,カスタマイズしたプロビジョナルレストレーションと組み合わせて使用し,プロビジョナルレストレーション上での下顎運動の記録が可能である.しかし,咬合を変更した場合,それまでの機能的運動範囲は使えなくなり,新たな下顎位で機能的運動範囲を確立し直す必要がある.

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