咬合の臨床応用
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9咬合調整法118図9-2 リーフゲージを用いた中心位採得により,上顎右側第二大臼歯咬頭内斜面に調整不足部位が発見された.図9-1 スキャン画像分析結果.習慣性咬合における咬頭嵌合位は完璧に思われる.検査の結果,複数の筋に圧痛を認め,荷重時に右側関節部にわずかな張りがあった.印象採得と咬合採得を行い,デジタル咬合分析を行った結果,習慣性咬合においてほぼ理想的な咬頭嵌合を示した(図9-1).中心位採得では,右側第二大臼歯に早期接触を認め,右側前方へ1mm 偏位していた(図9-2).患者は治療を行った歯科医師によって調整されたオクルーザルデバイスを有していたが,分析の結果では,装置上の中心位と咬頭嵌合(咬頭嵌合位)を一致させる十分な調整はされていなかった.患者によると,装置の調整過程では,両手誘導法やリーフゲージ法は用いられなかったとのことである.リーフゲージを用いて咬合調整を行い,3週間かけて3回の診察を行ったところ,症状は完全に消失した.その時点で,前歯部にコンポジットレジン製ジグを用いた補綴装置の咬合調整を進めた(図9-3).デジタルスキャンでは,中心位における咬頭嵌合の改善が認められた(図9-4).1週間後にもう一度,咬合調整を行ったところ(図9-5),患者はすべての

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