口唇裂・口蓋裂治療
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cdab9 手術における問題点・注意事項への対応図 2 a~d 痕跡唇裂(両側裂症例.右側:マイクロフォーム,左側:マイナフォーム).a,b: 術前.c,d: 術後. 披裂重症度分類は文献18を参照.図 3 粘膜下口蓋裂.〔口蓋垂裂,硬口蓋後端部の骨欠損,菲薄な軟口蓋正中部(透過帯)〕が知られているが(図 3)20,すべての症症度分類は術式の選択,手術時期を検討するうえでの参考となりうる18.変形が極めて軽微な場合には,家族の希望も確認したうえで経過観察とし,学童期を含む成長後に初回手術を行うこともある.術式はrotation advancement 法,三角弁法,直線法を変形の程度に応じて適用する19.口輪筋の断裂や菲薄化に対して口唇全体に皮切を加える必要がない場合でも,部分的な皮切とノッチを形成する口唇粘膜側からの切開により,断裂する筋層を適正に再建することが重要である.外鼻形態については,口唇形態を付与した際に変形が目立つ症例に対して鼻孔縁切開による外鼻形成を行うが19,基本的には成長後,必要に応じて外鼻修正を追加する.痕跡唇裂では歯槽部に痕跡的な顎裂をともなっている場合があり,歯数や形態異常歯の有無など硬組織形態にも注意して成長観察する必要がある.2 粘膜下口蓋裂の場合 粘膜下口蓋裂の臨床上の問題点は,軟口蓋正中粘膜下における筋層の断裂,異常走行による鼻咽腔閉鎖機能不全である. 臨床症状としてCalnanの 3 徴状をともなっているとは限らず,筋層の断裂がみられても鼻咽腔機能が正常である症例も少なくない.また,言語障害や中耳疾患等をきっかけに乳児期以降受療に至る場合が多い.治療にあたっては,言語訓練により正常な鼻咽腔機能を獲得する場合もあり,外科的治療の適用は 3 歳以降での正確な言語評131

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