2 図1 医療ホワイトニングと非医療ホワイトニング(セルフホワイトニング)の違い。新井聖範 近年、自身の歯を白くしたいという “ ホワイトニング ” へのニーズは増加し、「ホワイトニング」という言葉も一般化してきた。それとともに世の中では、「ホワイトニング」という用語が、歯を白くしようとするさまざまな行為や市販品などの宣伝コピーなどにも広義に使用され、ホワイトニングという行為や処置の定義が曖昧な状況がある。これはすなわち、患者が思う「ホワイトニング」と、われわれ歯科医療従事者が認識する「ホワイトニング」というものが、必ずしも一致していない可能性がある、ということをまずわれわれは認識しておく必要がある。ている世の中の現状を踏まえ、われわれは適切医療ホワイトニング・医療機関で行われる専門的な方法・歯科医師・歯科衛生士の管理のもと行う・歯の内部に作用する専用薬剤、および専用トレーや光照射器などの医療機器を使用して行う・使用する専用薬剤の主成分は、過酸化水素または過酸化尿素 歯の内部まで薬剤が作用し、色調を改善 歯の変色(内因性)に対応な説明と治療を行わなければならない。患者と医療従事者の意思疎通のとれていない状態は、医療過誤にもつながる可能性がある。 そこで、本書では、歯のホワイトニングを「医療ホワイトニング」とそれ以外を意味する「非医療ホワイトニング(セルフホワイトニング)」に分類し、定義する。①医療ホワイトニング 歯科医師または歯科衛生士の管理のもと、医療機関で行われる歯の色調を改善する方法であり、われわれ歯科医療従事者が認識している、いわゆるホワイトニング行為を指す。 医療ホワイトニングでは、専用の薬剤を使用し歯の内部まで白くする(歯の漂白またはブリーチと表現される場合もある)。歯の内部に非医療ホワイトニング(セルフホワイトニング)・自宅や美容サロンなどで希望者自身が行う方法・歯科医師・歯科衛生士の介入はない・ホワイトニング用とされる歯磨剤や、美容サロン独自の薬液などを使用(法的に過酸化水素は扱えない) 歯の内部までは作用せず、表面にのみ作用 着色(外因性)に対応するのみ 「ホワイトニング」という言葉が独り歩きし医療ホワイトニングと非医療ホワイトニング
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