Clinical Report 1312007年 日本歯科大学歯学部卒業2018年~ 医療法人社団 OHP 理事長2020年 神奈川歯科大学社会人大学院咀嚼機能制御補綴学分野歯学博士2025年 医療法人社団 OHP OHP DENTAL OFFICE 開設日本顎咬合学会認定医/日本顕微鏡歯科学会認定医/日本歯周病学会会員/日本臨床歯周病学会会員/日本口腔インプラント学会会員/ITI member/AACD member/EN 東京理事/CID 理事安斉昌照 Anzai Masateru医療法人社団 OHP あんざい歯科医院 院長はじめに 骨造成を成功させるためにはPASSの原則が大切であり,P:手術部位の傷が開かないこと.A:手術部位に必要な血流の供給があること.S:手術部位に骨の新生が起こるための必要な空間が維持されていること.S:手術部位が動かないように安定性を保つことが重要である 1 .近年,さまざまな方法による骨造成が報告 2 されている中で,GBRは骨欠損部に骨補填材料を填入してメンブレンで被覆する術式であり,他の術式に比べて合併症が少ないと報告されている 3 .インプラント治療同時もしくはそれに先駆けて行われ,骨造成を行うことでインプラントの維持安定を助長するものである.埋入したインプラント体が長期的に安定する条件として水平的にインプラント周囲の骨が 2 mmあることが望ましいとされている 4 .さらに,垂直的に上顎洞や下顎管への距離が近接している場合は,垂直的な骨高が必要になる.そのため,インプラント治療に骨造成は必要不可欠であると考えられる. GBRに用いる純チタン製のTiハニカムメンブレンは,直径20μmのポーラスが空いている非吸収性のメンブレンである(図 1).GBRは,骨壁内に骨造成を行う内側性のGBRと外側性のGBRに大別され,主に外側性のGBRに対してスペースメイキングと外力に対抗するために,チタン強化型の非吸収性メンブレンを用いる. 現在,さまざまな性状のメンブレンが選択できるが,このTiハニカムメンブレンはポーラスを有しており,骨膜からの栄養を造成部へ浸透させる特徴をもっている.Urban 5 はメンブレンにポーラスがあるものとないもので造成量の比較をしたところ,ポーラスがある群で造成量が高かったと報告していることから,Tiハニカムメンブレンは高い骨造成が可能であることが示唆される.しかしながら,ポーラスが空いているため,歯肉弁に骨膜減張切開を行い,確実に一次創傷閉鎖を行うことが重要である.さらに,本メンブレンは純チタン製であることから,三次元的なメンブレンの賦形が可能であり,湾曲しているところにも容易に設置することができる.そのため,さまざまな骨欠損に対してのGBRにおいて有用性が高いと考えられる.TiハニカムメンブレンTiハニカムメンブレンの利点とその効果Clinical Report
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