1999年 九州大学歯学部卒業2018年~現在 JIPRI (Japan Institute for Periodontal Regeneration)研修会主宰日本歯周病学会評議員/日本臨床歯周病学会常任理事/ITIフェロー/ITIインプラントスペシャリスト山下素史 Yamashita Motofumi山下歯科医院 歯周病再生インプラント研究所 院長東京科学大学口腔再生再建学分野 非常勤講師九州大学歯学部 臨床教授はじめにHAp/Colの特徴症例 1 :大きな 3 壁性骨欠損にHAp/Colを使用し,リエントリーを行った症例(図 1 ~ 5 ) リフィット デンタル, ストローマン RFT デンタルは日本発の吸収置換型コラーゲンコンポジット骨補填材料である.20年以上前に科学技術庁無機材質研究所(現:国立研究開発法人物質・材料研究機構)と東京医科歯科大学(現:東京科学大学)が中心となり,開発が進められた.その開発は一言でいうと「ナノテクノロジー技術の医療材料への応用」である.骨組織は分子レベルまで紐解くと,コラーゲン(collagen, 付着した線維状のものであり,骨はコラーゲンナノコンポジットの集積体であるといえる 1 .長年の研究開発の結果, この線維状のHAp/Colナノコンポジット(以下,HAp/Col)を模倣することを目標とし,ナノテクノロジーの活用により,骨類似材料を人工合成することに成功した.驚くべきことに,HAp/Colは細胞を増殖させ,骨芽細胞の活性化を促す作用があり,筆者は骨再生促進能 “Osteopromotive”ととらえている.従来の骨補填材料とは一線を画す,世界に類を見ない革新的な材料といえる.・ コラーゲン分子(Col)とハイドロキシアパタイトのナノ(HAp)の結晶がナノレベルで整列した自己組織化線維である 2・ 自家骨同様の骨代謝リモデリングに取り込まれると考えられる 2・ 骨置換スピードが自家骨に匹敵する 3・ 細胞を誘導,増殖させる 4・ 破骨細胞の増殖と骨芽細胞の活性化を促す 5 しかし,非吸収性の骨補填材料に比べて,外圧への抵抗性は低いと考えられる. まず,HAp/Colを使用し始めた当初に,その再生能力を実感したリエントリー症例を提示したい. 患者は54歳女性,非喫煙,全身疾患なし,左下の疼痛を主訴に来院された.抜髄処置後,歯周組織再生療法を行った.骨壁に囲まれた 3 壁性であるが,根尖付近まで吸収した比較的大きな欠損が認められた.HAp/Colに生理食塩水を浸潤させたものを填入Col)分子にハイドロキシアパタイト(HAp)の結晶がClinical Report 105リフィット デンタル生体模倣ナノコンポジット「リフィット デンタル」の“Osteopromotive”効果と臨床応用Clinical Report
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