YREGRUSLARODNALATNEDROFWEVER口腔乾燥症の診断[ 1 ]自覚症状・他覚所見 診断では,さまざまな症状を訴えて受診する患者から,その訴えが口腔乾燥症によるものであるか疑うことから始まる.主な自覚症状には口腔乾燥感,飲水切望感,粘つき感,疼痛,味覚異常,食事困難感,会話困難感がある(図 4).一方,他覚所見には口腔粘膜の乾燥や発赤,舌の皺,舌苔の消失や異常付着,舌乳頭の萎縮・消失,唾液腺圧迫による開口粘稠度の増加などがある(図 5 ,6).口腔乾燥症患者のすべてが口腔乾燥感の自覚症状を有しているわけではない.唾液分泌量の減少を認めても,初期には,ほとんど気にされていない.その後,次第に舌を中心とした口腔粘膜に微細な荒れが生じて,舌の違和感や舌痛を生じる.しかし,まだこの頃は口腔粘膜を観察しても明らかな発赤,口腔乾燥所見など23.4%20.7%20.1%13.5%9.4%7.4%5.5%図 5 舌のしわ,舌乳頭の萎縮,舌苔の消失.図 3 a, b 蒸発性口腔乾燥症. 舌背や口蓋粘膜は乾燥しているが,口底部には唾液の貯留がみられる.疼 痛ざらつき感乾 燥 感ネバネバ感咀嚼・嚥下異常飲水切望感味覚異常図 4 口腔乾燥症患者の自覚症状を訴えた症状の割合(自験例).部(耳下腺・顎下腺)からの排唾不良,唾液の泡沫化,患者の訴えに見合うだけの変化がないことが多い.そのため,「気のせい」とか「心因的なもの」とされてしまうことが多い.医療機関を受診する患者の多くは40代以降の女性で,60代でピークを迎える.受診する患者の大部分は自分の症状の原因が唾液分泌量の減少(場合により唾液成分)に起因するものだとは自覚していない.一見,唾液分泌量の減少とは無関係と思われる舌痛などの症状を見逃さないことが重要である.重症例では,他覚的には舌乳頭の萎縮や粘膜の発赤がみられるようになる(図 5).[ 2 ]問診 口腔乾燥症を診断するうえで,問診はとても重要である.既往症,併存疾患,精神状態,内服薬を確認する.自覚症状については症状の強弱の有無,訴えに矛盾点がないかなどをていねいに聞き取る.「食事時に痛みをともなうか」「朝・昼・夜のどの時間帯に口腔乾燥感が生じるか」などを聴取する.ここで注意することは,食事時には痛みを生じないからとabI 図 6 唾液の泡沫化.口腔乾燥症の新分類と診断・治療 Chapter2143
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