:I YREGRUSRANMESLAUSIVLARODNALATNEDCISABProposal for the Diagnosis and Treatment of Odontogenic Maxillary SinusitisNoguchi Kazuma1, Tsuzuki Kenzo2, Kishimoto Hiromitsu1歯性上顎洞炎治療のポイント：❶歯性上顎洞炎の悪化要因には感冒やアレルギーに代表される自然口の閉鎖も関与し，内視鏡下副鼻腔手術（endoscopicsinussurgery：ESS）による中鼻道自然口ルート（ostiomeatalcomplex：OMC）の生理的形態の再構築が必要な場合がある．❷近年の歯性上顎洞炎は原因歯が既治療歯である症例が多く，上顎洞粘膜の炎症による多列線毛円柱上皮のダメージは比較的軽度かつ可逆性である．❸難治性の歯性上顎洞炎の治療に際し，原因歯の抜歯と抜歯窩からの洗浄を継続して行ったり，Coldwell-Luc 法に代表される経口的上顎洞根治術（上顎洞粘膜除去と対孔形成）を行うよりも，ESS による OMC の再構築が合理的である．❹ ESS が 導 入 さ れ， 術 後 性 上 顎 嚢 胞（post-operativemaxillarycyst：POMC）の発生を予防できている点からも，歯科治療のみで治癒する歯性上顎洞炎以外は，対孔形成を前提とする経口的上顎洞根治術は避けるべきである．❺ ESS による上顎洞炎の病勢コントロールが可能となり，顕微鏡下歯内療法や原因歯に対する歯根端切除と逆根管充填，さらにトライセクションや意図的再植の併用で積極的な歯の保存が可能となっている．保存不可の歯に対する抜歯はやむをえないが，患歯の可及的保存を提案したい．CT）の導入が進み，上顎大臼歯の根管治療で顕微鏡1 兵庫医科大学医学部歯科口腔外科学講座2 兵庫医科大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座連絡先：〒663‐8501 兵庫県西宮市武庫川町1‐11 Department of Oral and Maxillofacial Surgery, School of Medicine, Hyogo Medical University2 Department of Otorhinolaryngology - Head and Neck Surgery, School of Medicine, Hyogo Medical Universityaddress：1-1 Mukogawa-cho, Nishinomiya-shi, Hyogo 663-8501治療を協力しながら実施する医科歯科連携が重要である．また，歯科治療もCBCT（歯科用コーンビームやNi-Tiロータリーファイルの使用により，治療精度が向上している“CBCT 時代 ”において，あらためて歯性上顎洞炎に対する診断，治療について考察する．Chapter1 口腔外科ビジュアルセミナーS e c tio n1 ビギナー＆ミドルのための必修 ベーシックテクニック野口一馬1／都築建三2／岸本裕充1 歯性上顎洞炎は歯性感染症が関与する上顎洞炎で，診断と治療において口腔外科と耳鼻咽喉科の双方にかかわる疾患である．また，ときに上顎洞炎から非歯原性疼痛を発症し，原因歯や隣在歯の疼痛を訴えて歯科を受診することもある．したがって，歯性上顎洞炎の診断・治療では，口腔外科と耳鼻咽喉科が共通の疾患概念を共有し，患者のQOLに配慮したChapter58歯性上顎洞炎に対する 診断・治療の提言1 - 1
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