adbecfI LACEPSERUTAEF歯の外傷図 7 a~d 骨接合プレートによる歯槽骨骨折整復・固定.a, b:第二小臼歯から後方に及ぶ歯槽骨骨折.左側下顎骨骨折も併発している.c:骨接合プレート観血的整復固定術を施行.d, e:術後 3 か月のCT 画像.骨治癒が得られている.f:術後 6 か月のCT 画像.プレート撤去後を行ったが良好な骨化が得られている.(図 7).落)に分類される(図 8)10, 11.乳歯では③側方脱臼,槽骨に対して固定可能な歯槽骨骨折に適応される 歯の外傷は,歯のみに限局した歯冠破折,歯根破折ならびに固有歯槽骨に損傷をともなう歯の脱臼に分類される.顎骨骨折,歯槽骨骨折にともなって生じることも多く経験する.本稿では,歯の脱臼を中心に解説を行う.歯の外傷性脱臼は①震盪,②亜脱臼,③側方脱臼,④陥入,⑤挺出,⑥完全脱臼(脱④陥入の脱臼程度,方向によっては後継永久歯への影響も考慮する必要がある. ②~⑥は脱臼歯の整復後に線副子による固定を行う.脱臼歯では,歯髄壊死の徴候が現れたら速やかに根管処置を行う必要がある.完全脱臼では歯根膜線維と歯髄血管の断裂を治癒させ,審美性と機能を受傷前の状態に保つために,可能な限り早く歯を正しい位置に戻し,安静を保つ(図 9).しかしながら全身状態不良の場合や,脱落歯の著しい感染,歯周支持組織に感染がある場合は再植を控える.乳歯の完全脱臼においては,再植処置により後続永久歯損傷の危険性がある場合は再植しない.また,脱落歯保存用として開発された保存液もある.塩化カリウム,塩化マグネシウム,塩化カルシウム,硫酸マグネシウムなどの無機塩類と浸透圧調整剤,糖類から構成され,24時間以上の歯根膜組織保存能を有している.また溶液自体の保存期間も長く( 2 年間),比較的安価に購入可能であるため,可能なときには保存液を使用することが望ましく,歯科医・口腔外科医は,救急医療に携わるメディカルスタッフ,コメディカルスタッフらに事前に情報共有を行い,現場で使用できる環境整備をすることが求められる.歯槽骨骨折の診断と治療33
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