ょういった。すると、ガスに触れた怪魚は、ただでさえ恐ろし気な形相を一変させ、狂暴に動きはじめた。三つ目の怪魚は大口を開けて水中に漂うこれ捨てロールを食らいはじめ、一つ目の怪魚は壁にかじりついた。どうやら壁の中に溜まったこれ捨てロールを食べようとしているようだ。怪魚たちがこっちに来たら……!場を後にした。「あの怪魚たち、水路をきれいにしようとしているようね」後ろを振り返りながら王女が言う。「私が子どものころは、血の川はもっときれいだった。ベトベトしないし、水路の壁も滑らかで」それにしても、ワイン色のガスを吸った怪魚の豹ひ変へはなんだったのか。公国には日常的に漂っているものなのだが。水路を注視すると、ガスが覆う壁はことさらに分厚く、大きなこぶ状になっているようだ。 「もう少し行くと町があるらしい」地図を見ながら王女が指し示す。その先には突き出た小山があり、ふもとには港町が見えた。私は潜水艇を加速させそのん食 白血球が悪玉コレステロールを貪する第 1 章口から血管へ解説悪玉コレステロールと白血球好中球血管壁内に堆積した悪玉コレステロール悪玉コレステロール単球血液中を漂う炎症性サイトカイン 肥満した人の血管には悪玉コレステロールが流れています。悪玉コレステロールは、血管壁の細胞と細胞のすき間をすり抜けて血管壁の中に侵入し、酸化して毒性をもちます。 血液中の白血球のうち、好中球(三つ目の怪魚)は血液中の悪玉コレステロールを、単球(一つ目の怪魚)は血管壁内の悪玉コレステロールを食べて除去しようとします。 一方、歯周病になっている人の歯ぐきからは、「炎症性サイトカイン」という物質が生み出されます。この物質は血流に乗って体内を漂い、体にさまざまな悪影響を起こしていきます(物語では「ワイン色のガス」と表現しています)。 血流に入った炎症性サイトカインは、血管壁の細胞のすき間を広げて悪玉コレステロールの侵入を助けるほか、好中球や単球が悪玉コレステロールを貪食する働きを活性化させます。しかしこの作用は意外な事態を招きます。詳しくは次のお話で。月刊「nico」22年4月号【歯医者さんQ&A】 3校2月24日提出ど んしょく19
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